南海トラフで“163年分のひずみ”の蓄積が観測される!! 東大教授「いつ起きても不思議ではない」

■163年分の”ひずみ”が溜まってる……!?

南海トラフで163年分のひずみの蓄積が観測される!!  東大教授「いつ起きても不思議ではない」の画像4画像は「Wikipedia」より引用

 南海トラフは、右図のように5つのセグメントに分けられ、それぞれが独立した固着域を持っている、とする考え方がある。それぞれが単独、あるいは連動して巨大地震が発生しているというのだ。海溝型地震が起こると、陸側に蓄積されたひずみは解消される。例えばCを震源とする地震が起きた時、Cのひずみは解消される。ただし、その際Aが連動しなかったなら、Aのひずみは蓄積されたままということだ。

 前述した、過去に発生した巨大地震の間隔から次の地震を割り出そうとする予測方法では、最新の昭和南海地震(1946年)が基準になっていたが、この地震の震源域はセグメントAとB。さらにその2年前に起きた昭和東南海地震(1944年)の震源域はCとD。駿河湾沖のEを震源とする最新の地震は、1854年の安政東海地震にまで遡る。

 この考え方でいくと、Eでは実に163年もの間、ひずみが蓄積され続けていることになる。フィリピン海プレートが陸のプレートに沈み込む速度は1年に5センチほど。単純計算で、5×163=815センチも沈み込んだことになり、それだけ陸のプレートは圧力を受けていることになるのだ。

 もちろん、だからと言って他の場所に比べて、駿河湾沖で地震が発生する危険性が高い、ということではない。あくまでも1つの考え方であり、他の地点で地震が起こることも十分考えられるのだ。以前、環太平洋造山帯で地震が多発している理由やその脅威について質問した際に、地質学の専門家が言っていたように、地震が発生する具体的な地点や詳細な日時を予測するのは、やはり極めて困難なようだ。地震大国・日本では、いつ巨大地震に見舞われるか分からないと覚悟し、来たる災害に備えておくことが、やはり重要になってくるだろう。
(坂井学)


参考:「ANNnewsCH」、「気象庁」、山岡耕春著『南海トラフ地震』(岩波新書)、ほか

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