冤罪処刑だったのか? 小1女児2人殺害「飯塚事件」久間三千年が獄中で訴え続けた「警察の捏造」! 妻も主張「夫は正義感の強い人間」
■妻が声明文で明かした「幸せな家庭」
生前の久間はどんな人物だったのか。
久間は事件当時、現場近くの町で妻や小学生の息子と暮らしていた。過去には公務員として働いたこともあったが、52歳だった当時は外で働かず、家庭では「主夫」のような立場で、外で働いていた妻の給料と自分の年金で生活していたという。平日は毎日、妻を車で職場に送り迎えしていたそうだから、マメな性格だったのだろう。
そんな久間の妻が綴った声明文が2015年1月、再審弁護団が福岡市内で開いた集会で公開されている。それには、次のような一節がある。
〈私たち家族の幸せは、日々のなかにあり、夫の優しさ、思いやりは、生活の中に満ちあふれていました。子供の成長に合わせて、軽自動車のワンボックスから普通車のワンボックスに替えて、運転席に3人で座って出かけるのが楽しみでした。
私が一度は行ってみたいと思っていた富士山にも連れていってくれました。富士山に向かって走る高速道路でトンネルを抜けると目の前に現れる富士山は美しくて素晴らしいものでした。深く心に残っています〉
久間が外で働いていなくても幸せな家庭を築いていたことが窺える。
ちなみに家族の思い出づくりに貢献した久間の車は事件直後、被害女児2人のランドセルなどが見つかった山林近くで目撃されており、裁判で有罪の根拠の1つとされた。しかし弁護団が再審請求後、捜査記録を再検証したところ、福岡県警の捜査官が久間の車の特徴をあらかじめ確認したうえ、目撃証人を誘導し、久間の車を目撃した内容の証言をつくり上げた疑いが浮上している。
■町内会長として警察に捜査協力も申し出ていた
妻の声明文には、こんな記述もある。
〈夫にとってこの上ない屈辱だったのは、幼い二人のお子さんの命を奪ったと言われたことだと思います。もし、その現場に遭遇していたら、夫は自分の体を張って子供たちを守っていたと思います。夫はそういう人です〉
つまり、久間は正義感の強い人物だったというわけだが、これを家族の「ひいき目」ではないかと思う人もいるだろう。しかし調べてみると、実際に久間が事件直後、事件解決のために率先して動いていたことを示す記録もある。それは、裁判の第一審で福岡地裁裁判長の陶山博生が宣告した死刑判決の次の一節だ。
〈被告人は、警察が有している情報を探り、自己が町内会長をしていたことから明星寺団地の住民全員から毛髪を提供させようなどと言って警察の捜査に協力するように見せかけており、捜査の撹乱を意図したものと認められ、犯行後の行動も狡猾である〉
つまり、町内会長だった久間は事件後、捜査が難航する警察に協力を申し出たりもしていたのだが、それが裁判では、怪しい言動であるかのように評価されたわけである。
それにしても、「住民全員から毛髪を提供させよう」と警察に申し出たことがなぜ、捜査を撹乱したことになるのか。こうした事実認定からは裁判官が審理中、「久間=犯人」という予断にとらわれており、久間の言動が何もかも怪しく思える心理状態だったことが窺える。
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