【死刑囚と面会】平成生まれの死刑囚が衝撃告白 ― 実は「殺人の記憶がない」石巻3人殺傷事件
――人を殺した人と会う。「死刑囚の実像」に迫るシリーズ【14】
2010年2月に宮城県石巻市で起きた3人殺傷事件で、殺人罪などに問われた千葉祐太郎(25)は今年6月、最高裁に上告を棄却され、確定死刑囚となった。平成3年生まれで、犯行時は18歳7カ月。新聞やテレビでは、裁判員裁判で初めて出た少年事件の死刑判決が確定したとして大きく報道されたが、実は裁判では、事実関係に大きな争いがあった――。
■意外な言葉
「俺自身も事件のことはよくわからないんですよ」
2014年の夏、仙台拘置支所の面会室。この日初めて面会に訪ねた筆者に対し、祐太郎は意外な言葉を口にした。
【事件概要】
事件発生はこの4年半ほど前に遡る。2010年2月10日早朝、後輩の少年(当時17)を引き連れ、石巻市にある交際相手の女性A子さん(同17)の家に上がり込んだ祐太郎は、家にいたA子さんの姉(同20)やA子さんの友人女性(同18)を持参した牛刀で刺殺。さらにA子さんの姉の知人男性(同20)に対しても胸を刺して重傷を負わせた。そしてA子さんを車で連れ去ったが、約6時間後、あえなく警察に捕まったのだった。
裁判の認定によると、祐太郎とA子さんはそれ以前、一緒に暮らした時期があり、2人の間には生後4カ月の娘もいたが、A子さんは祐太郎から激しい暴力を受けており、別れを決意して実家に戻っていた。そこで祐太郎はA子さんを連れ戻すべく、交際に反対するA子さんの姉らを殺害したとされていた。
筆者が初めて面会に訪ねたのは、すでに第一審の裁判員裁判と控訴審が終わり、残すは最高裁のみになっていた時期だった。
社会の注目を集めた事件を取材してみると、先行報道や裁判の結果から抱いたイメージが覆されることは少なくない。祐太郎の場合も会ってみると、事前にインターネットで見た写真より顔つきが穏やかになっており、背も思ったより低かった。それにしても、あれほどの大事件を起こしながら、「俺自身も事件のことはよくわからない」とは、一体・・・。
戸惑う筆者に対し、祐太郎はこう言った。
「俺、事件の時の記憶が無いんです」
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