【TOCANA的UMAファイル #07】「モンゴリアン・デスワーム」 ── 何十年も本気で調査されながら、専門家の結論すらいまだにバラバラな殺人ワーム

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 モンゴル・ゴビ砂漠に棲むという、体長最大1.5メートルの巨大ワーム。触れれば黄色い猛毒を浴びせられ、離れていても電撃で命を落とすとまで恐れられてきた。あまりの凶暴さに、チェコの探検隊はSF小説さながらの地面叩き装置と爆薬まで持ち込んで砂漠に乗り込んだ──相手は、学名すらいまだ与えられていない一匹の虫にすぎないというのに。

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基本データ

名前:モンゴリアン・デスワーム(Mongolian Death Worm)。現地では「オルゴイホルホイ」(資料によっては「オルゴイ・コルコイ」とも表記される)と呼ばれる

生息地:モンゴル・ゴビ砂漠、特に西部・南部の乾燥した砂地とされる

初出:1926年、米国の古生物学者ロイ・チャップマン・アンドリュースの著書『On the Trail of Ancient Man』で西洋に紹介された

姿:頭も脚もない、赤茶色でずんぐりした胴体。体長は50センチ〜1.5メートル、太さは成人男性の腕ほどとされるが、資料により幅がある。触れると黄色い猛毒を浴びせ、離れた獲物には放電で攻撃するとも語られる

由来:家畜の腸に似た姿から、モンゴル語で「腸虫」を意味する名で呼ばれたとされる

事件簿

 最初の記録は、思いのほか公式なところから始まる。

 1922年、ゴビ砂漠での化石探索の許可を求めてモンゴル首相ダムディンバザルのもとを訪れたアンドリュースに対し、首相は逆に「あの怪物を捕まえてきてほしい」と依頼したと伝わる。アンドリュース自身はこの生物の実在を信じていなかったとされるが、この逸話を1926年の著書に書き記したことで、オルゴイホルホイの名は一躍西洋に知られることになった。

 本格的な捜索が動き出したのは、それから半世紀以上あとのことだ。1990年と1992年、チェコの探検家イワン・マッカールは、SF小説『デューン』に登場する砂虫よろしく地面を規則的に叩いて振動でおびき出す「サンパー」なる装置を自作し、ゴビ砂漠に乗り込んだ。

 それでも埒が明かないとみるや、最終的には小型の爆薬まで持ち出したというが、決定的な証拠はつかめなかった。2005年には動物学者リチャード・フリーマンを中心とする英国の調査隊が改めて現地入りし、聞き取りを重ねたが、毒液や電撃といった伝説の能力を裏付ける証拠は見つからなかったと結論づけている。

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ベルギーの画家ピーテル・ディルクスによるモンゴリアン・デスワーム By The original uploader was Pieter0024 at English Wikipedia. – Transferred from en.wikipedia to Commons., CC BY-SA 1.0, Link

ホントカナ?

 正体候補としてまず挙がるのは、ヘビやミミズトカゲの誤認説だ。1983年には、現地でオルゴイホルホイを見たという住民にタルタルサンドボアという実在のヘビの標本を見せたところ、「これによく似ている」と証言したという記録が残っている。だが、同じ謎を追いかけたはずの2005年の英国調査隊が行き着いた先は違った。動物学者リチャード・フリーマンらのチームが名指ししたのは、ヘビではなく脚のないトカゲの仲間「ミミズトカゲ」だったという。

 同じ生物を追っていたはずの調査隊が、20年以上の歳月を挟んで、それぞれ別の“容疑者”にたどり着いている。しかも、ヘビ説にもミミズトカゲ説にも、触れた者を黄色い毒液で腐食させ、離れた獲物すら感電死させるという、伝承最大の凶暴さを説明する材料は今のところ一つもない。

 何十年分もの本気の調査を経てなお、ヘビなのかトカゲなのか、それとも本当に未知の生物なのか──オルゴイホルホイの“正体”は、いまだ一つに絞り込めていない。

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タルタルサンドボア By Vincent MalloyOwn work, CC BY-SA 3.0, Link

TOCANA的まとめ

 モンゴリアン・デスワームが今も語り継がれているのは、単に「危険」だからではないだろう。一国の首相が探検隊に捕獲を依頼し、外国の研究者たちが自作の“サンパー”や爆薬まで持ち込んで本気で対峙してきた──その総力戦じみた歴史そのものが、地平線まで見渡す限り砂と乾いた大地が続くゴビ砂漠という土地の底知れなさを物語っている。得体の知れない一匹の虫を相手に、これだけ多くの人間が本気になれる場所は、そう多くない。

トリビア

 漫画・アニメ『ダンダダン』にも、ある地域で信仰されてきた「大蛇様」の正体としてモンゴリアン・デスワームが登場する。ゴビ砂漠生まれの未確認生物が、フィクションの中でもなお“信仰対象の正体”という役どころを与えられているのは、なかなか興味深い巡り合わせだ。

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TOCANA編集部

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