【TOCANA的UMAファイル #14】「モスマン」 ── 「首がない」怪物の正体は、首の長い鳥だった

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 1966年11月、ウェストバージニア州ポイントプレザント。深夜のTNTエリアを走っていた10代の男女2組の車を、翼を広げた黒い影が追いかけてきた。赤く光る目、7フィートはあろうかという背丈、そして──首が見当たらない。アクセルを踏み込み時速100マイル近くまで飛ばしても、影は涼しい顔で並走してきたという。

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基本データ

名前:モスマン(Mothman)。当時人気だったTVドラマ「バットマン」の悪役「キラー・モス」を連想した地元紙が命名したと伝わる

生息地:米・ウェストバージニア州ポイントプレザント近郊、通称「TNTエリア」(旧陸軍弾薬工場跡地。現マクリンティック野生生物管理区域)

初出:1966年11月15日深夜

姿:身長7フィート(約2メートル)ほど、翼を広げると10フィート(約3メートル)に達するという。赤く光る目が目立つ一方、目撃者の多くが「首が見当たらなかった」と証言している点が特徴的

由来:地元紙「ポイント・プレザント・レジスター」が翌16日、「Couples See Man-Sized Bird … Creature … Something」の見出しで報じたのが最初の記事とされる

事件簿

 1966年11月15日深夜、TNTエリアをドライブしていたスカーベリー夫妻とマレット夫妻(当時は交際中の2組のカップル)は、道端の廃倉庫付近で翼を広げ赤い目を光らせる何かと遭遇した。恐怖のあまり車を全速力で走らせたが、その何かはヘリコプターのように垂直に浮き上がり、時速100マイル近くまで加速した車にも並走してきたという。彼らはそのまま警察へ駆け込み、事件は翌日の一面記事になった。

 以後およそ1年のあいだに、目撃情報は町の内外で26件に達したと伝わる。ところが1967年12月15日、ポイントプレザントとオハイオ州ガリポリスを結ぶシルバー橋がラッシュ時に崩落し、46人が犠牲になる大惨事が起きる。この事故を境に、モスマンの目撃はぱたりと途絶えたという。

ホントカナ?

 当時、ウェストバージニア大学の野生生物学者ロバート・L・スミス博士は「目撃されたのはサンドヒルヅルではないか」という説を発表した。この鳥は目の周りの赤い皮膚が光を受けて赤く光って見えることがあり、体高も人間に迫るほど大きい。一見もっともらしい説明だ。

 だが、この説には見過ごせない矛盾がある。サンドヒルヅルは、その名の通り長い首こそが最大の特徴の鳥だ。ところが目撃者の多くは「首が見当たらなかった」と口をそろえて証言していた。当時もっとも有力とされた「正体」が、目撃談でいちばん強調されていたはずのディテールとまるで噛み合わないのである。

 別の懐疑派は、首が体に埋もれて短く見えるモリフクロウを候補に挙げ、暗闇でヘッドライトを反射した目が赤く光る「アイシャイン」現象だと説明する。首なし怪物の正体探しは、鳥か、それとも別の何かか、いまだ決着していないという。

サンドヒルヅル By HappiestFishOwn work, CC BY 4.0, Link

TOCANA的まとめ

 シルバー橋崩落から8年後の1975年、作家ジョン・キールは著書『モスマンの黙示』の中で、1年前から相次いでいた目撃情報を、この惨事の”予兆”として位置づけた。もっとも1971年の公式調査では、崩落の原因は連結金具の応力腐食による金属疲労と結論づけられており、超常現象とは無関係とされている。

 それでも半世紀を経たいま、ポイントプレザントはモスマンを町の顔として大切に育てている。2002年に始まった「モスマン・フェスティバル」は毎年9月、1万5000人を超える来場者を集め、2003年には高さ12フィートのステンレス像が、2005年には専門博物館がそれぞれ町の中心にお目見えした。悲劇と隣り合わせで生まれた怪物譚を、こうして誇らしく語り継ぐ町があると思うと、一度足を運んでみたくなる。

トリビア

 目撃現場となったTNTエリアには、第二次大戦中にTNT火薬を貯蔵していたコンクリート製の「イグルー」型倉庫が今も約100棟残り、遊歩道つきの野生生物保護区として一般公開されている。ただし敷地は汚染指定を受けたスーパーファンド・サイトでもあり、2010年には未回収の火薬が入った倉庫の一つが実際に爆発したと伝わる。半世紀以上たった今も、油断のならない土地らしい。

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