火星の古代文明は核攻撃で滅ぼされた!? プラズマ物理学者が唱える「火星大虐殺説」と科学者たちの反論

かつて火星には文明が栄え、何者かの核攻撃によって一掃された。そんな衝撃的な説を、ある物理学者が大気データを根拠に唱え続けている。
主張しているのは、航空宇宙開発企業に所属するプラズマ物理学者ジョン・ブランデンバーグ博士だ。火星の住人は記念碑的な建造物を残したのち滅ぼされ、同じ危機は人類にも迫り得ると警鐘を鳴らしている。果たしてその根拠は、科学の検証に耐えうるものなのか。
火星の大気に残る「キセノン129」は核爆発の痕跡なのか
博士は2014年、学術誌『Journal of Cosmology』に論文を発表し、火星の化学組成と遺跡とされる地形を「惑星規模の大虐殺」の証拠として提示した。とりわけ重視したのが、大気中の希ガス「キセノン」だ。
キセノンには中性子の数が異なる複数の同位体があり、核爆発が起きればそれらが特定の比率で生じるとされる。火星の大気には、キセノン129が異常に多く含まれている。博士はこれこそ核爆発の名残だと主張しているのだ。
根拠の一部は、地球に落下した火星隕石の分析だった。2012年8月に着陸したNASAの探査車キュリオシティの大気観測は、ある種の火星隕石のデータとよく一致している。ただし、1984年に南極で見つかった隕石「アラン・ヒルズ84001」はやや異なる組成を示しており、火星の大気が数十億年かけて変化した可能性もうかがえる。
「50%のズレ」が暴いた同位体計算の落とし穴
これに異を唱えるのが、アリゾナ大学月惑星研究所の名誉教授ティモシー・スウィンドル博士だ。キセノンの測定値が爆発説を支持するかと問われ、ひと言で否定している。
同氏によれば、ブランデンバーグ博士は地球大気のキセノンに核実験由来のキセノンを加え、キセノン129が火星の値に届くよう配合を決めた。つまりキセノン129が一致するのは当然なのだ。問題は核分裂で生じるより重い同位体で、キセノン136では計算値が実測を50%も上回った。通常は数%以内に収まらなければ一致とは呼べないという。
ブランデンバーグ博士が別の手がかりとするアルゴン40の比率の高さについても、スウィンドル博士は火星にアルゴン36が極端に少ない(惑星1グラムあたり地球の約2%)ためだと指摘する。証拠は「きわめて弱い」としつつも、古代の爆発そのものが不可能とまでは言っていない。
別の説明もある。2024年の研究では、太陽系誕生から2億〜3億年の間に繰り返された天体衝突が、軽いキセノンを大気から弾き飛ばした可能性が示された。ただし、この研究もキセノン129の過剰そのものは説明できていない。

探査車が素通りした場所に、かつて誰かがいたとしたら
ペンシルベニア州立大学のジェイソン・ライト教授は、太陽系に技術文明の痕跡は一切見つかっていないとの立場だ。一方で、地球上に過去の産業文明があった場合の痕跡を考察した2018年の「シルル紀仮説」論文を挙げ、数百万年もたてば文明の遺物は判別困難になり得るとも述べている。
宇宙生物学者のジェイコブ・ハック=ミスラ博士は、機械学習で高解像度の火星画像から異常地形を探す手法を提案する。あらゆる異常は調べるべきだが、すべてを宇宙人の証拠とみなすべきではない、というのが同氏の姿勢だ。さらに、別の文明がはるか昔に太陽系を訪れ、ほとんど痕跡を残さずに去った可能性にも言及している。
ブランデンバーグ説が数字の壁を越えるのは難しいだろう。それでも、数億年前に栄えた隣人の足跡を、私たちの探査車がそれと気づかず踏み越えているとしたら。赤い砂の下に眠る何かを想像する自由まで、誰にも奪えはしないのかもしれない。
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2024.10.02 20:00心霊火星の古代文明は核攻撃で滅ぼされた!? プラズマ物理学者が唱える「火星大虐殺説」と科学者たちの反論のページです。火星、核戦争、核攻撃などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
