「タイヤ痕」にしか見えない跡が火星の砂地に! NASA探査車の撮影画像に「キュリオシティの轍とは違う」の声

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画像は「Daily Mail」より

 火星の砂の上に、まっすぐ延びる一本の帯が残っている。しかもその中央には線が走り、両脇に等間隔の刻みが規則正しく並んでいた。

 車輪が転がった直後の轍にしか見えないこの跡が、NASAの火星探査車キュリオシティの撮影画像から見つかり、SNSで急速に拡散している。「これは探査車自身の轍ではない」という指摘まで飛び出し、赤い惑星の地表を”何か”が走ったのではないかという議論に火がついている。

2025年5月19日、キュリオシティが捉えた等間隔の刻み

 問題の画像が撮影されたのは2025年5月19日、地球の協定世界時で午前2時40分ごろのことだ。岩がちな丘と、遠くにかすむ山並みを含む火星のパノラマとして記録された。

 その砂地の一角に、肉眼でもすぐ識別できる縞状のパターンが写り込んでいた。中央を貫く一本の線と、その周囲に密に並ぶ等間隔の刻み。走行中のタイヤの跡だと言われれば、そのまま納得してしまいそうな形状である。

 当然ながら、光の加減やカメラの不具合を疑う声も上がった。だがその可能性は早々に薄れた。わずか2分後に別角度から撮影された画像にも、同じパターンがはっきり写っていたからだ。一時的なノイズや錯覚では説明しにくい。

 画像自体は1年以上前から誰でも閲覧できる公開データだった。それが注目を集めたのは2026年9月に入ってからだ。NASAの公開画像から説明のつきにくい異常を探して紹介している宇宙愛好家のカリ・シベルツェン氏が、Xに再投稿したことがきっかけだった。

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画像は「Daily Mail」より
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画像は「Daily Mail」より

では、これはキュリオシティ自身が残した轍なのか?

 投稿に真っ先に付いたのは、素朴な問いだった。それはキュリオシティ自身の走行跡ではないのか、というものだ。

 しかし画像を検証した利用者からは、否定的な見方が相次いだ。キュリオシティは走行時に左右2本の平行な跡を残すが、写り込んだパターンは1本の帯として続いている。

 車輪の形状も一致しない。キュリオシティのトレッドに中央を貫くラインはなく、大きな四角いブロックが並ぶギザギザした模様を刻む。画像の「中央線+等間隔の刻み」とは、そもそも設計が違うという指摘だ。

 もっとも、投稿者本人の意図は乗り物の跡を示すことではなかった。シベルツェン氏が注目してほしかったのは周囲に広がるくぼみのほうで、かつて水が流れた活動の痕跡、あるいは何らかの衝突の跡と矛盾しない地形だと説明している。皮肉にも、その水の話題は轍騒動にすっかりかき消された。

「火星の人面岩」が残した教訓と、生命探査が進む赤い惑星

 この種の”発見”には長い前史がある。1976年にはバイキング1号の撮影画像に人間の顔のような地形が写り、「火星の人面岩」として世界的な話題を呼んだ。

 だが後年の高解像度撮影で、正体は侵食を受けたごく平凡な丘だったと判明している。顔に見えた原因は、影の落ち方と当時の画像の粗さだった。

 懐疑派が持ち出すのは、パレイドリアと呼ばれる心理現象だ。曖昧な画像の中に見慣れた形を探そうとする脳の働きで、雲が顔に見えるのと同じ仕組みだとされる。NASAや軍関係者も、宇宙写真に写る説明困難な物体を「アーティファクト」と呼び、異常な照明条件やデータ破損に原因を求めてきた。

 一方で、火星が”生命のいた星”に近づいているのも事実だ。2025年9月、NASAはパーサヴィアランスが採取した試料から、古代の微生物生命を示す過去最も明確な兆候を確認したと発表している。ただし知的生命の痕跡が見つかったことは一度もないという立場を、NASAも米政府も崩していない。

 キュリオシティが2012年から探査を続けるゲール・クレーターは、四国とほぼ同じ広さを持つ巨大な衝突跡で、中央には山がそびえる。岩の層や粘土質の堆積物を調べ、かつてここに生命がいた証拠を探し続けている探査車だ。

 なお先月には、シベルツェン氏が2023年のパノラマから、細い2本の脚の上に黒い塊が乗ったような小さな影を見つけ出している。1分足らず前に同じ場所を撮った画像に、その姿はなかったという。

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画像は「Daily Mail」より

 2025年5月19日撮影分の公開画像の中に、跡の続きや、キュリオシティが接近して詳細を捉えたカットは見当たらない。風紋か、堆積物の縞か、それとも本当に「何かが通った跡」なのか。判定する材料は今のところ揃っていない。

 NASAは2020年代末までに初の有人火星探査を実現する計画を進めている。人間が自分の足でその砂地に降り立ったとき、この帯状の跡の正体もようやくはっきりするのかもしれない。

参考:Daily Mail、ほか

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