9歳の少女が突然「前世の言語」を書き出した! 彼女が描いた島の地図は海底都市ヘラクレイオンと一致していた

幼い子どもが、行ったこともない場所の記憶を語り出す。世界各地で報告されてきたこの現象の多くは、親の戸惑いとともに語られ、やがて忘れ去られていく。
だが、アーナという名の9歳の少女のケースは、少し様子が違っていた。彼女が紙に描いた「いびつな形の島」が、海の底で発見された実在の古代都市と重なってしまったのだ。
「そこを実際に歩いているように」語りはじめた娘
アーナの両親がその異変に気づいたのは、彼女が9歳の誕生日を迎えた頃だったという。娘が突然、古代の世界と、そこで生きていた自分の人生についての「ヴィジョン」を話しはじめたのだ。
父親は、ライフタイム・ムービー・ネットワークの番組『ザ・ゴースト・インサイド・マイ・チャイルド』でこう振り返っている。娘の語り口は、かつて住んでいた場所を今まさに歩き回っているかのようだったと。
彼女が描写したのは、洞窟、砂漠のような乾いた環境、簡素な家々、そして共同体の仲間たちと身を寄せ合って暮らす日々だった。人生の節目に起きた出来事まで細部にわたって語られたという。
父親を動揺させたのは、その視点だった。想像で物語を作る子どもの口調ではなく、そこで実際に生活している者の目線から語られている。しかもその記憶には、一続きの体験と感情が丸ごと伴っていた。
話を聞けば聞くほど、娘は見てきたものをただ報告しているだけではないのか。そんな疑いが強まっていく。こんな情報を、なぜ小さな娘が持っているのか——。
村を飲み込んだ地震と、海底から現れた「幻の港市」
決定的だったのは、アーナが語った「ある出来事」だった。彼女は、自分の村を襲った地震という悲劇について、驚くほど具体的に説明したのだという。
やがてアーナは、見たヴィジョンを絵に描きはじめる。そのうちの一枚が「かつて住んでいた島々」だった。父親の目には、想像で描いた風景画というより、実際に見た地図を書き写したもののように映ったという。
両親が娘の言葉と符合する情報にたどり着いたのは、その後のことだ。ヘラクレイオンと呼ばれる古代都市が、2000年に海中で発見されていたという記録だった。母親は、とにかく驚いたと語っている。
ヘラクレイオンは、エジプト名でトニスとも呼ばれる実在の港湾都市だ。ナイル川のカノープス河口付近に位置し、アレクサンドリアが台頭する以前は地中海とエジプトを結ぶ玄関口だったとされる。長く伝説上の存在と見なされてきた。
両親が突き止めた情報によれば、この都市は大きな地震をきっかけに海へ沈んだとされ、起源は紀元前12世紀頃まで遡るという。そして「いびつな形をした島」の上にあったという記述は、娘の絵とぴたりと重なった。
地震。沈んだ集落。奇妙な形の島。娘の口から出た断片が、海底に眠る実在の都市の輪郭を次々となぞっていく。両親が「これは前世の記憶なのではないか」と考えはじめたのも無理はなかった。
記号とアルファベットを並べた朝、両親に突きつけられた問い
母親が明かしたエピソードの中でも、とりわけ奇妙なのが「言語」の件だ。ある朝、アーナは目を覚ますなり、自分は言語を丸ごと思い出したと言い出した。そして紙に記号を書き並べ、その一つひとつに対応する英語のアルファベットを添えていったのだという。母親は、もう理解が追いつかないと漏らしている。
もちろん、懐疑的な見方は成り立つ。ヘラクレイオン/トニスはマイナーな存在ではなく、子ども向けの書籍や学習資料でも取り上げられている題材だ。どこかで目にした情報が記憶の底に沈み、本人も出所を忘れたまま自分の体験として蘇る。潜在記憶(クリプトムネジア)と呼ばれるこの現象は、その種の証言を説明する有力な候補である。
一方、幼児が語る前世記憶は、米バージニア大学の研究者らが数十年にわたり症例を収集してきたように、学術的な検証の対象にもなってきた分野だ。決着はまだついていない。
想像と偶然の産物なのか、9歳とは思えない調べものの成果なのか。それとも本当に前世の記憶なのか。もっとも節約的な説明は、おそらく潜在記憶だろう。
それでも、長く海の底に沈んでいた都市の輪郭を、地図も見ずに鉛筆でなぞってしまった9歳の手を思い浮かべると、簡単に片づける気にはなれないのも確かだ。記号の羅列がいつか解読される日が来たとしたら。そのとき、答えは海面に浮かび上がってくるのかもしれない。
参考:UNILAD、ほか
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