過去と未来は「同時に」存在している!? タイムトラベルのパラドックスに研究者たちが出した意外な答え

タイムマシンで過去へ戻り、自分の祖父を殺してしまったらどうなるのか。自分が生まれなければタイムマシンも作られず、過去へ戻ることもできない。SFファンにはおなじみの「親殺しのパラドックス」である。
長らく思考実験の域を出なかったこの難問に、いま物理学者たちが数学と実験の両面から挑んでいる。そこから見えてきたのは、「時間」そのものの常識を揺さぶる奇妙な答えだった。
量子もつれで「過去のセンサー」の向きが変わった
アインシュタインの一般相対性理論では、時空の中を一周して出発時点に戻ってくる経路、「閉じた時間的曲線」の存在が理論上許される。米国立標準技術研究所(NIST)の理論物理学者ニコール・ユンガー・ハルパーン博士によれば、この曲線上の粒子はかつての自分自身と出会う可能性もあるという。
ここで問題になるのが、出どころのない情報が生まれる「ブートストラップ・パラドックス」だ。未来の自分から時間旅行の方法を記したノートを受け取り、それを過去の自分に渡したら、ノートの中身は誰が考えたのか。
カリフォルニア大学バークレー校の物理学者ケイター・マーチ博士は、この問題を量子もつれを使って検証している。2024年に発表した実験では、超伝導回路でできた2つの量子ビットをもつれさせ、一方を磁場センサーとして使った。すると、もう一方を後から測定することで、過去のセンサーの向きを変えられることが示されたのだ。
まるで「どちらを向くべきか」という情報が、もつれの瞬間まで時間をさかのぼったかのようだった。ただし博士は、これで過去に情報を送れるわけではないと明言している。実際の時間旅行ではないが、パラドックスの原理を実験室で再現した点に意義があるという。
宇宙は「数独」のように一度に完成している?
さらに大胆なのが、米チャップマン大学で量子力学の哲学を研究するエミリー・アダム助教の考えだ。彼女は未来の出来事が過去に影響する「逆因果」に注目し、2022年の論文で「オール・アット・ワンス」という宇宙模型を提唱した。
この模型では、宇宙は過去から未来までを通して一つの完成した構造として存在し、数独のマス目のように全体が噛み合っているとされる。過去と未来が同時に成立しているのなら、過去を書き換えるという矛盾はそもそも生じない。
一方、英オックスフォード大学のヴラトコ・ヴェドラル博士は、空間だけでなく時間をまたいだ「時間的もつれ」が数学的に成り立つことを示している。これがホーキング博士の提起した「ブラックホール情報パラドックス」の解決にもつながる可能性があるというから興味深い。
映画『恋はデジャ・ブ』のように時間が折り返す
英ケンブリッジ大学の数理物理学者ロレンツォ・ガヴァッシーノ博士は2024年、閉じた時間的曲線の上ではエントロピー、つまり秩序から無秩序へと向かう流れが途中で逆転するという考えを研究した。
博士はこれを、同じ1日を繰り返す映画『恋はデジャ・ブ』になぞらえる。24時間で元に戻るループなら、0時から12時へ進む人物と、24時から12時へ逆行する「時間反転した像」が存在し、12時を過ぎると逆再生の映像を見るような状態になるという。
とはいえ博士自身は、宇宙はそうした曲線ができる前に物理法則が破綻するか、特異点のようなものを生んで阻止するのではないかと考えている。パラドックスを理由に時間旅行を不可能と決めつけるべきではないが、宇宙の側が先にブレーキをかけるという見立てだ。
一方でユンガー・ハルパーン博士は、もっと単純な答えを示す。過去へ戻っても祖父を殺さなければいい。過去を変えない経路だけが存在するなら、矛盾はそもそも起こらないのだ。
アダム助教も、現在の宇宙では因果が一方向に強く偏っているため、逆因果を人間が自由に操れる見込みは薄いとみている。それでも、過去と未来がすでに一枚の絵として完成しているのだとしたら、私たちが「これから」と呼ぶ時間も、どこかではとっくに描き終えられていることになる。その答え合わせができる日は、案外すでに宇宙のどこかに書き込まれているのかもしれない。
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2024.10.02 20:00心霊過去と未来は「同時に」存在している!? タイムトラベルのパラドックスに研究者たちが出した意外な答えのページです。タイムマシン、パラドックス、タイムトラベルなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

