タイムマシンを作ったマイク・マーカムはどこへ消えた? 1990年代を熱狂させた「マッドサイエンティスト失踪事件」の真相

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“タイムマシン”は完成していたのか――。1990年代の“マッドサイエンティスト”のタイムトラベル疑惑が再び浮上しているようだ。

■タイムマシンは完成していたのか

 1995年、ミズーリ州セントジョセフに住んでいたマイク・マーカム(当時21歳)は稀代の発明王、ニコラ・テスラに傾倒し、時間を操作できる機械、つまりタイムマシンを作ることを決意した。

 高出力の電力を確保する必要があり、マーカムはキングシティにあるセントジョセフ電力会社の変電所から、それぞれ数十キロもある高出力変圧器を6台を盗もうと試みた。警察はすぐに動きマーカムは逮捕された。

 マーカムは窃盗罪で有罪となり、数カ月間服役した。地元紙が報じたこの事件が、カルト的な人気を誇る超常現象ラジオ番組「Coast to Coast AM(コースト・トゥ・コーストAM)」の司会者、アート・ベルの目に留まった。

 マーカムは刑務所から釈放された直後の1995年に「Coast to Coast AM」に初めて出演し、ある具体的な実験について説明した。

 実験では変圧器を作動させた後、装置の上空の空気が変形したのだが、彼はそこに金属製のネジを投げ込んだ。彼の証言によると、ネジは約0.5秒間消えた後、数メートル離れた場所に再び現れたという。マーカムは放り投げたネジは文字通り消滅し、その直後に別の場所に出現したと主張した。

 1996年、マーカムは再び同ラジオ番組に出演し、装置を完成させたと主張し、それを「マーカム・テンポラル・リアクター」と呼んだ。

画像は「YouTube」より

 彼はより多くの電力とより高度な部品が必要だと説明した。また、正体不明の人物に尾行されていると主張し、自身の研究成果が当局や政府機関に押収されるのではないかと恐れていた。この時期に彼は、装置が安定したら自ら実験を行うつもりだと宣言した。

 マーカムが提唱した原理は、多くのリスナーに「フィラデルフィア実験」を想起させた。「フィラデルフィア実験」は1943年に米軍が電磁場を用いて艦船を透明化することに成功したという都市伝説である。

 多くの者がこの時の放送を聴いており、マーカムが完成させた装置が超常現象を引き起こすと、かなりの数のリスナーが信じたという。マーカムの印象がまさに“マッドサイエンティスト”であることから、一部からは「マイク“マッド”マーカム」とも呼ばれるようになった。

 最後にラジオに出演して以来、マイク・マーカムは忽然と姿を消したかのようだった。消息不明となったことで、超常現象研究コミュニティではさまざまな憶測が飛び交ったが、その中の2つが主に議論された。

タイムトラベルの成功:支持者の中には、彼がタイムトラベル装置の開発に成功し、過去または未来に移動したのだと主張する者も少なくなかった。

政府の介入:彼のエネルギーと時間操作に関する研究が、連邦機関による強制的な接収や連行につながったと示唆する見解もあった。

 2010年代半ばになってマイク・マーカムは失踪したわけではないことが確認された。最近のインタビューや行政記録によると、彼は姿を消したのではなく、研究資金難、機器の故障、個人的な問題などによって苦難の時期を経験しており、時には路上生活を余儀なくされていたことが示唆されている。

 マイク・マーカムの一件は、いつの時代においても人は自然法則を逸脱するための道具としてテクノロジーに魅了されてきたことを物語っている。SF小説とは異なり、マーカムの物語は、盗まれた変圧器、警察による逮捕、ラジオ出演といった、きわめてリアルな出来事に基づいている。

 フランス語メディア「Mysterium Incognita」によると、この事例は「Coast to Coast AM」のようなオルタナティブメディアが現代の神話を作り出す上で果たす役割も浮き彫りにしているという。こうした番組は、異端の発明家に発言の場を与えることで、技術的な出来事や強迫観念的な妄想を、何百万人もの人々が注目する壮大な物語へと変貌させ得るのだ。

 現在までにマイク・マーカムがタイムトラベルに成功した、あるいは運用可能な“タイムボルテックス”を作り出したという物理的または科学的な証拠は一切存在しない。

 しかしながらマイク・マーカムの物語はメディアと都市伝説が交錯する興味深い事例研究として、今なお語り継がれている。

 一説では彼のタイムマシン開発の動機の1つには宝くじの当選番号を知るという意図もあったといわれている。すでに高額当選を果たしているとすれば今後も公の場には姿を見せないのかもしれない!?

参考:「Mysterium Incognita」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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