食べると「小さな人間」が見えるキノコの正体 —— 既知の幻覚成分は検出されず、90年来の謎に新展開

食べると、目の前に何十体もの小さな人間が現れる——そんな奇妙な体験を引き起こすキノコが、科学者たちの調査によってその輪郭を現しつつある。
中国雲南省とフィリピン北部の先住民コミュニティで古くから語られてきたこの現象を、ユタ大学のコリン・ドムナウアー氏とブリン・デンティンガー氏の研究チームが調査し、2026年6月に学術誌『Mycologia』で発表した。原因とみられるキノコからは、これまで知られているどの幻覚物質も検出されなかったという。
エルフや妖精が「実在の物体と同じ空間」を歩き回る
問題のキノコは「Lanmaoa asiatica(ランマオア・アジアティカ)」という、松の木と共生関係を持つ食用のイグチ科キノコだ。雲南省では「手で青くなる」を意味する現地名で呼ばれている。
このキノコを口にした人々の証言には共通点がある。数十から数百体にも及ぶ、エルフやピエロ、妖精のような小さな人型の存在が見えるというもので、約90%の事例でカラフルな衣装をまとった姿として報告されている。
特に興味深いのは、これらの幻の人影が家具の間を歩き、障害物をよけながら移動するなど、実在する物体と同じ空間を共有しているように見える点だ。実に97%の事例で、幻覚が周囲の環境に自然に溶け込む形で現れているという。
医学ではこうした現象を「リリパット幻覚(小人幻覚)」と呼び、統合失調症スペクトラム障害や神経疾患の症状として報告されることがあるが、特定のキノコがこれを繰り返し誘発する例は極めて珍しい。

90年前から報告されながら、正体不明だった成分
この現象が初めて西洋の科学者によって記録されたのは1934年、パプアニューギニアでのことだった。
その後1950年代から60年代にかけて、人類学者や菌類学者による調査が進められた。LSDの発見者として知られる化学者アルバート・ホフマン氏も分析を試みたが、原因となる化合物の特定には至らなかったという。
1990年代以降は雲南省での報告例が増加し、2024年にはフィリピンでも同様の現象が改めて確認されている。
研究チームは今回、世界各地から集めた53点のキノコ標本のDNA配列を解析。その結果、雲南省とフィリピンの両地域で同一の菌種が食べられていたことが判明した。解析対象となった17種のうち4種は、これまで学術的に記載されたことのない新種だったという。
検出されなかった「既知の幻覚成分」という手がかり
最大の発見は、むしろ「何が見つからなかったか」にある。
研究チームがこのキノコを分析したところ、マジックマッシュルームに含まれる幻覚成分シロシビンをはじめ、キノコの幻覚作用として知られるどの物質も検出されなかった。これは、科学的にまだ特定されていない未知の精神活性物質が関わっている可能性を示唆している。
2021年に発表された体系的レビューでは、これまでに226件の事例が記録として集められているという。原因物質の特定には至っていないものの、特定の菌が特定の幻覚パターンを繰り返し誘発するという現象そのものは、菌類と人間の脳の関係を探る上で貴重な手がかりとなりそうだ。
小さな人影の正体が未知の化学物質なのか、それとも人間の脳に共通して眠る何らかの原型的なイメージなのか——90年越しの謎は、ようやく科学のメスが入ったばかりだ。
参考:SciTechDaily、ほか
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2024.10.02 20:00心霊食べると「小さな人間」が見えるキノコの正体 —— 既知の幻覚成分は検出されず、90年来の謎に新展開のページです。小人、キノコ、幻覚などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
