【夢広告】眠りの中で「スキップできないCM」が流れる!? 若者の61%が体験、MITはすでに夢に特定のテーマを仕込む技術を開発していた

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 見慣れた街を歩いていたはずの夢が、突然止まる。画面いっぱいに商品が映し出され、ナレーションが流れ始める。慌てて「スキップ」ボタンを探すが、どこにも見当たらない。

 2025年から2026年にかけて、こうした「夢の中の広告」体験を語る投稿が、夢の掲示板やSNSで相次いでいる。単なる寝ぼけ話と片付けるのは簡単だ。だが、睡眠科学の最前線を見渡すと、この現象は少しばかり笑えない意味を帯びてくる。

若者の6割が「夢で広告を見た」と回答

 夢の終わり際にCMが割り込む、夢全体が特定の商品を中心に展開するなど、報告の中身はさまざまだ。

 数字で裏付けようとした調査もある。デジタルマーケティング会社The Media Imageが2025年1月に実施したアンケートでは、18〜35歳の米国人1101人のうち61%が、過去1年間に広告のような内容を含む夢を見たと答えた。アップルやコカ・コーラ、マクドナルドといった実在のブランドを夢で見たという人は48%に上り、約3分の1は夢に影響されて何かを買ったと回答している。

 ただし、これは臨床的な睡眠研究ではなく、本人の記憶と自己申告に頼った調査だ。広告が夢や購買の原因になったとまでは言えない。

 最もありそうな説明は、夢が起きている間の記憶の断片から組み立てられるという点だ。動画サイトやSNSに浸かった世代は、現実そのものが一時停止して広告が流れる夢を見る。広告は個々のブランドだけでなく、その「形式」ごと脳に刷り込まれているのかもしれない。

MITが開発した「夢を誘導する装置」とは

 話が不穏になるのはここからだ。マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの研究者らは、夢の内容に外から働きかける研究を長年続けてきた。代表例が「Dormio」と呼ばれるシステムと、「ターゲット・ドリーム・インキュベーション(TDI)」という手法である。

 狙うのは、眠りに落ちかけた直後の「入眠時心像(ヒプナゴジア)」と呼ばれる状態だ。この段階の人間は、夢のイメージに沈みながらも外の音にある程度反応できる。装置がこの状態を検知し、タイミングを計って音声で特定のテーマを吹き込むと、そのテーマが夢に織り込まれやすくなるという。

 2023年に学術誌『Scientific Reports』に掲載された研究では、「木」をテーマに設定。夢に木を取り込めた参加者は、目覚めた後、木に関連する創造性テストで好成績を示したと報告された。

 さらに2026年6月、学術誌『Frontiers in Sleep』に小規模な予備研究が発表された。11人全員が入眠時に「木」のテーマを夢に取り込み、レム睡眠に達した8人のうち4人は、最初のレム睡眠の夢にもそのテーマを持ち込んでいたという。入眠時に仕込んだ種が、より深い夢まで生き延びる可能性を示した形だ。

大手企業はすでに「夢」を市場と見ていた

 広告業界がこの可能性を見逃すはずもない。2021年、ビール大手モルソン・クアーズはスーパーボウルに合わせ、夢研究者のディアドラ・バレット博士と組んで、滝や山、飲み物の映像を使った短編映像を制作した。参加者は就寝前にそれを視聴し、眠った後も音声が流され続けた。同社は夢に影響を与える試みであることを公言していた。

 マイクロソフトのXbox部門もゲーム後の夢を記録・分析する企画を実施し、バーガーキングは寝る前に食べると悪夢を見やすくなるという触れ込みのバーガーを売り出した。

 一方、寝室にはスマートウォッチ、イヤホン、スマートスピーカー、睡眠計測マットレスが入り込み、睡眠段階を推定する精度を上げている。広告システムは検索履歴や買い物かごの中身まで把握済みだ。研究者らが懸念するのは、これらが睡眠段階の検知と音の合図に結びついた未来である。

 ブランドを連想させるメロディや波の音を、眠りの最適な瞬間にそっと流す。翌朝、なぜか海辺の夢を覚えていて、旅行サイトを開いてしまう。現時点でそんな仕組みが密かに稼働している証拠はない。

 それでも、夢はこれまで人類に残された数少ない「広告の届かない場所」だった。その境界線が静かに揺らぎ始めているのは確かだ。今夜、夢の中でスキップボタンを探したとしたら、それは脳の気まぐれか、それとも未来からの予告編なのだろうか。

参考:Above the Norm News、Scientific Reports、Frontiers in Sleep、MIT Media Lab、ほか

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TOCANA編集部

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