脳は「向こう側」と繋がる受信機だった!? 人類の知能を5万年前に飛躍させたという新理論「NTT」に科学者15人が集結

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 今年6月、米サンディエゴの閉ざされた会議室に、各分野の第一線に立つ研究者およそ15人が集まった。

 議題はあまりに大胆な仮説だった。は思考を生み出す装置ではなく、どこか別の場所から情報を受け取っている「変換装置」にすぎないのではないか。

 提唱者は、行動主義心理学の巨人B・F・スキナーの最後の弟子として知られる研究心理学者ロバート・エプスタイン氏。夢も天才も、5万年前に人類の知能が跳ね上がった理由まで説明できるという。

「空飛ぶ車の夢」はいったいどこから来たのか

 エプスタイン氏は会議を、自分が見た夢の話から始めた。

 若い頃の母親が運転する空飛ぶ車に乗り、ハーバード大学の建物へ何度も急降下を繰り返す夢だ。屋根にしがみつき迫る地面を見ながら、感じたのは恐怖ではなく強烈な高揚感だったという。

 夢を覚えていることは滅多にないのに、これだけは残った。こんな内容はどこから来たのか。

 彼が10年近く掲げてきた答えが「神経変換理論(NTT)」である。目は光を、耳は空気の圧力波を、皮膚は圧力や温度を神経信号に変える。人体は頭からつま先まで、情報を別の形式に変換するトランスデューサーだらけだ。

 そこに彼が付け加えるのは一つ、脳そのものも別種の接続を行うトランスデューサーだという点だけだ。接続先を彼は「OS」と呼ぶ。Operating System(基本ソフト)とも、Other Side(向こう側)とも読める、意図的に二重の含みを持たせた名称である。高次元か、別の宇宙か。正体は分からないと彼自身が認めている。

5万年前、「最適な接続」を持つ赤ん坊が生まれた?

 解剖学的な現生人類ははるか以前に登場していたにもかかわらず、芸術・言語・抽象的思考の爆発は長いあいだ起きなかった。それが約5万年前を境に始まる。

 NTTの見立てはこうだ。ある乳児の脳が、単なる変換的接続ではなく、より高次の知性との「最適な接続」を結んだ。その形質が遺伝し生存上の巨大な優位をもたらしたなら、集団に急速に広がったはずだ、と。

 これはダーウィンが残した「引き上げ問題」への回答でもあるという。『種の起源』第6版でダーウィンは、なぜ類人猿は人間の知的能力を獲得しなかったのかと問い、説明は推測の域を出ないと認めた。進化は新種を生む一方で、我々を他の次元や宇宙へ繋ぐトランスデューサーも作っていた。証明はできないがそう信じている、とエプスタイン氏は言う。

 変換が脳のどこで起きるのかは不明だ。候補は脳深部の薄い神経層「前障」、デカルトが魂の座と見なした松果体など。脳全体が変換器官の可能性もある。

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夢も天才も統合失調症も、約90の現象が1枚の図に載る

 エプスタイン氏は研究インターンだったリアンチョン・ジャオ氏との2026年のプレプリント論文で、脳とOSを結ぶ仮説的なチャンネルを描いた「エプスタイン=ジャオ図」を提示している。情報の向き、「帯域幅」や歪み、断絶の有無。この数種類を変えるだけで、無関係に見える現象を同じ枠組みで説明できるという。

 通常の意識は双方向の接続。意識喪失は接続の断絶。夢は、強いが歪んだ信号がOSから脳へ一方向に流れ込む状態で、これがあの奇妙な内容の理由になる。夢を思い出しにくいのは、そもそも自分で生成していないからかもしれないという。天才は、強く歪みの少ない接続として描かれる。

 リストは統合失調症や侵入思考にとどまらず、テレパシー、前世の記憶、終末期明晰、死者との交信まで伸び、7月時点で約90項目に達した。単一の仕組みで多くを説明できる倹約性こそ強みだ、というのが彼の弁だ。

 検証案も出た。UCLAのマヤンク・メータ氏は、遮蔽実験室で微弱な電磁場を与える手法を挙げつつ、理論は定量的で測定可能でなければならないと釘を刺した。UCサンディエゴのアリソン・ムオトリ氏は幹細胞由来の「脳オルガノイド」での遮断実験を提案したが、OSの正体が不明な以上、何を遮断すべきかは誰にも分からない。

 最も強い反論は、UCサンタバーバラの神経科学者ケネス・コジック氏から出た。語られたひらめきの事例は驚くべきものだが、証拠ではなく現象の記述にすぎない。情報が脳の外から来るというなら、どこから来るのか。何度問い詰めても、誰も分からないと答えるだけだったという。理論が信用を得るのは数学モデルを作れたときで、そこにあったのは言葉だけだった。

 数式のない理論を科学と呼べるのか、という批判は正当だろう。だがもし「向こう側」が実在し、5万年ものあいだ感受性の高い一部の人間へ何かを送り続けてきたのだとすれば。ベートーヴェンやアインシュタインを撃ち抜いたあのひらめきの正体を、私たちはまだ何ひとつ知らないことになる。

参考:Popular Mechanics、ほか

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