脳に刺した電極で“強烈な陶酔感”、実の娘も実験台に… 悪魔の科学者は「洗脳装置」を開発したのか?
ホセ・マヌエル・ロドリゲス・デルガード(1915年8月8日~2011年9月15日) は、米イェール大学で生理学を教えるスペイン人教授だった。同大学は、脳への電気刺激による洗脳の研究で有名である。
脳を刺激して行動を制御する実験
デルガードは1915年にスペイン・ロンダで生まれた。当初は目の健康と障害を専門とする眼科医になろうとしていた。しかし、生理学と神経学を学んだ後、専攻を脳に変更した。1950年にイェール大学医学部に移り、動物の脳に電気刺激を与えることを可能とする独創的な装置を製作し、実験を開始した。
デルガードの製作した初期の装置は、被験者が自由に動けない仕様で、多くの被験者が感染症にかかるという問題もあった。これが無線で操作できるように改良されたことで、実験者が実験を制御できる一方で、被験者は完全に自由に動くことができるようになった。具体的には、被験者の脳に電極を埋め込み、操作者がスイッチを切り替えるだけで使える仕様だった。この装置は「スティモシーバー」と呼ばれる。
スティモシーバーを利用した実験で、デルガードは被験者の行動と感情に対する脳波の影響を観察した。サルを使って、攻撃を制御する脳の領域を刺激して攻撃的にしたり、逆に好戦的な性格を抑えたりすることに成功した。また、ネコを使って、不随意の筋肉運動を誘発する方法を研究した。
さらに、「パディ」と名付けられたメスのチンパンジーの扁桃体(情動反応を司る大脳辺縁系の一部)にスティモシーバーを埋め込み、一種のバイオフィードバック(生体自己制御)を設計した。このバイオフィードバックでは、特定の脳信号が生成されるたびに嫌悪反応が引き起こされる。そのため、パディは非常に大人しくなり、注意力と意欲が低下した。デルガードはパディの実験を人間に応用して、パニック発作などの障害を抑えることができるという仮説を立てた。
精神病患者を被験者としたスティモシーバー実験
デルガードは後に、精神病患者を被験者としてスティモシーバーの実験を行った。「これまでのすべての治療法に抵抗した絶望的な病状の患者」を選び、そのうちの約25人に電極を埋め込んだ。患者のほとんどは統合失調症またはてんかんの患者だった。デルガードは人間の脳のどこに電極を配置するのが最適かを決めるため、1930年代にてんかん患者の脳を研究したカナダの脳神経外科医ワイルダー・ペンフィールドの研究などに注目した。
デルガードによると「4人の患者の扁桃体と海馬のさまざまなポイントを無線で刺激すると、快感、高揚感、深く思慮深い集中力、奇妙な感覚、極度のリラックス、色彩視覚などの反応を含むさまざまな効果が得られた」と述べ、「脳の伝達物質は一生、人間の頭の中にとどまり得る。脳の神経伝達を活性化するエネルギーは、無線周波数を介して送信される」と結論付けた。
デルガードは、スティモシーバーを使用して、感情を引き出せるだけでなく、特定の身体的反応も引き出せることを発見した。患者の運動皮質(脳の前頭葉の一部で、意図的な筋肉の運動を制御する領域)を刺激すると、手足の動きなどの身体的反応が起こった。しかも、患者はその反応に抗えなかった。「先生、あなたの電気は私の意志よりも強いと思います」と言った患者もいた。
こうした実験結果の中でも最も有望な発見の一つは、大脳辺縁系に存在する「中隔」と呼ばれる領域の発見であるともいわれる。デルガードが中隔を刺激すると、患者は強い陶酔感を得た。この陶酔感は肉体的な痛みや抑うつを克服するほど強力だった。
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2024.10.02 20:00心霊脳に刺した電極で“強烈な陶酔感”、実の娘も実験台に… 悪魔の科学者は「洗脳装置」を開発したのか?のページです。脳波、洗脳、人体実験、精神病などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで