亡くなった人の脳を蘇生させて実験台に!? 米スタートアップ「Bexorg」が行うBrainExシステムの全貌と倫理的課題

言うまでもなく治験以外の人体実験は禁止されているが、すでに5年も前から人間の脳を蘇生させて実験台にする研究が行われている――。
■人間の脳を蘇生させて実験台に
米コネチカット州に拠点を置く医療系スタートアップ企業「Bexorg(ベクソーグ)」は、亡くなったドナーの脳を研究に利用している。
ベクソーグの事業の中核を成すのは、脳を対象とした生命維持システムである「BrainEx」と呼ばれるシステムであり、提供された脳の代謝機能を回復させ、極めて侵襲的な研究を可能にするものだが、その方法は倫理的な懸念を引き起こしている。
同社によると、麻酔薬よって脳内の神経発火が抑制されるため、脳には意識がないという。脳は生きているかのように機能し、研究者は脳が実験薬をどのように代謝するかを観察できるが、意識を形成する電気活動は存在しないということだ。
脳の保存期間は非常に短く、研究者たちはわずか24時間後には、より詳細な研究のために脳を数百個の断片に切断する。これらの研究は、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症などの疾患が新しい治療法にどのように反応するかを解明することを目的としており、治療期間、標的部位、潜在的な副作用に関する詳細な情報を得ることを可能にする。
同社によればこの研究の最大の利点は、人間の脳が数十年かけてどのように発達していくかという、その複雑な過程を深く理解できる点にあるという。遺伝、環境要因、薬物使用歴といった現実世界における影響は、シミュレーションによるコンピューターモデル、培養皿上の細胞、あるいは動物の脳全体といったものを用いても捉えることは難しい。

脳は亡くなった神経変性疾患の患者から、移植用の臓器提供を調達する団体によって集められているという。
同社は設立から5年間ですでに700人以上の人間の脳を対象とした実験を実施しているが、蘇生された脳が意識を取り戻すのではないかという懸念はまだ払拭されていないようだ。
発端は2019年、同社の研究者たちは、地元の食肉処理場から入手した豚の脳の機能を、自社の装置で回復させることができることを示す論文を発表したことからはじまる。
当時、科学メディア「Live Science」の取材に応じたイェール大学の生命倫理学者、スティーブン・レイサム氏は「これは全く新しい試みであり、制度的な監督体制が全く整っていない」と警告した。
「もし意識が何らかの方法で脳に誘発されるようなら、私たちは倫理委員会を設置し、人間や動物を対象とした研究を行う際に生じるさまざまなトレードオフについて検討する体制を整えるべきだ」(レイサム氏)
しかし同社はこれらの脳はどの時点においても意識に似たものは一切生じないと説明している。
安全性を高めるため、脳に供給される人工血液にはプロポフォールと呼ばれる麻酔薬が含まれており、脳の電気活動を抑制する。これにより、脳は最も基本的な機能しか果たさず、思考、記憶、経験といったものを生み出すような活動は一切行わないことが保証されているということだ。
そしてこのベクソーグの研究成果が初めて実用化される日が近づいている。共同研究者であるバイオヘイブン社が、ベクソーグのデータを用いて開発した薬剤の臨床試験を開始したのだ。ベクソーグは動物実験やシミュレーションモデルによる結果よりも、実際のヒトの脳への治療効果に遥かに近い結果が得られるため、より安全な臨床試験が可能になると主張している。
開発された薬剤の効果が素晴らしいものであれば懸念も払拭されることになるが、亡くなった方の多くの脳がシステマティックに実験に提供されている現実には心穏やかにはなれないかもしれない。
参考:「Daily Mail」、「The Debrief」ほか
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2024.10.02 20:00心霊亡くなった人の脳を蘇生させて実験台に!? 米スタートアップ「Bexorg」が行うBrainExシステムの全貌と倫理的課題のページです。実験、脳、蘇生、ドナー、製薬、治験などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

