脳を「脳がないクローン」に移植する!? 秘密裏に進行する“不老不死”スタートアップの狂気

「自分の脳を取り出して、若いクローンの肉体に移植する」
これはSF作品ではおなじみの「永遠の命」を手に入れる究極の手段だ。しかし、そんなディストピア小説から抜け出してきたようなプロジェクトが、現実のアメリカで秘密裏に進行しているという。
億万長者の出資を受けるステルス・スタートアップ企業「R3 Bio」が企む、倫理のタガが外れたような“クローン”計画の全貌とは。
サルの「臓器袋」から人間の「スペアボディ」へ
1996年のクローン羊「ドリー」誕生以来、動物のクローン技術は進歩してきたが、こと人間に関しては、倫理的なリスクが高すぎてタブーとされてきた。
しかし先日、米誌『Wired』が「R3 Bioという企業が、臓器提供用として脳を持たないサルのクローンを開発するための資金調達を行っている」と報じた。これだけでも十分にショッキングだが、MITテクノロジーレビューの追跡調査によって、彼らの真の目的はさらに恐ろしいものであることが判明したのだ。
彼らの最終目標は、サルの臓器ではなく「人間のスペアボディ」を作ることだ。
老化や病気で肉体が衰えた富裕層が、自らの「脳」を移植するための、若くて健康な全身クローン。それが彼らの目指す究極のアンチエイジングである。
ここで問題になるのが「クローンにも人権があるのでは?」という倫理的ジレンマだが、彼らの解決策は極めてシンプルかつグロテスクだ。
「最初から脳(意識)を持たないクローンを作れば、それはただの生きた肉の塊であり、殺しても倫理的な問題は生じない」というのである。
「ストレンジラブ博士との遭遇」と称される恐怖のプレゼン
R3 Bioの創業者であるジョン・シュレンドルン氏のプレゼンを聞いたある関係者は、その狂気じみた内容を「マッドサイエンティスト(ストレンジラブ博士)との未知との遭遇だった」と振り返っている。
当然ながら、メディアの取材に対し同社は「人間に脳障害を持たせたクローンを作る意図や陰謀は一切ない」と完全否定している。しかし、共同創業者のアリス・ギルマン氏が「チームとして、人間を含む脳なしクローンについての『仮説的で未来的な議論』を行う権利は留保している」と、意味深な言葉を残している点が見逃せない。

科学的ハードルと「おぞましさの壁」
倫理面はさておき、科学的にそんなことが可能なのか?
2000年代初頭にヒト胚のクローン作成を試みたパイオニアの一人、ミシガン州立大学のホセ・シベリ研究員は「障壁が多すぎる」と冷や水を浴びせる。
人工子宮の技術がまだSFレベルである現在、この「脳のないクローン」を育てるには、生身の女性の代理母が必要になる。「意図的に異常(=脳がない)な胎児を妊娠・出産するよう、女性を説得しなければならないのです」とシベリ氏は語る。
安全性、違法性、そして何より生理的な「おぞましさ」という巨大な壁が立ちはだかっているのだ。
しかし、シュレンドルン氏はこの「おぞましさの壁」に怯む様子はない。彼は長年にわたり、この“人間のスペアボディ”構想について非公開のセミナーを開き、投資家たちに熱心にプレゼンを続けてきたという。
「もし安全にできないと分かれば、ノーという答えを受け入れる準備もある」と彼は語るが、裏を返せば「安全にできるならやる」ということだ。
金持ちが永遠の命を金で買い、脳のない自分のクローンを持つ時代。それはユートピアか、それとも倫理の完全な崩壊か。不老不死への欲望は、科学をどこまで狂わせるのだろうか。
参考:Futurism、ほか
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2024.10.02 20:00心霊脳を「脳がないクローン」に移植する!? 秘密裏に進行する“不老不死”スタートアップの狂気のページです。不老不死、倫理、クローン、クローン人間などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで