【戦場の奇跡】傷口から青い光を放つ兵士だけが生き残った!? 139年間解けなかった南北戦争のミステリー「天使の輝き」の正体

1862年4月。アメリカのテネシー州で起きた南北戦争の激戦「シャイローの戦い」は、両軍合わせて2万3700人以上の死者を出すという凄惨な結果に終わった。ヘブライ語で「平和の場所」を意味するシャイローという名が、なんとも皮肉に響く。
戦闘が終結した後も、森や谷底には1万6000人以上もの負傷兵が取り残されていた。身動きがとれない彼らは、降りしきる冷たい雨に打たれながら、夜の闇の中で救助を待つか、死を待つしかなかった。
やがて現場に到着した軍医たちは、暗闇の中で息を呑むような光景を目にする。負傷した兵士たちの「ぱっくりと開いた傷口」から、不気味な青白い光が放たれていたのだ。
さらに不思議なことに、この「光る傷」を持つ兵士たちは、普通の傷の兵士たちよりも生存率が異常に高かった。傷口が化膿したり壊疽(えそ)したりすることなく、次々と回復していったのである。当時の人々はこれを神の救いだと信じ、この現象を「天使の輝き(Angel’s Glow)」と呼んだ。
139年後に謎を解き明かした2人の高校生
この青白い光の正体は、1世紀以上の間、誰も解き明かすことができないミステリーだった。
事態が動いたのは2001年。歴史の授業で「天使の輝き」について学んだ17歳の高校生、ビル・マーティンとジョン・カーティスの2人が、この謎に挑む決意をしたのだ。ジョンの母親が微生物学者だったことも幸いし、彼らはシャイローの古戦場を徹底的に調査した。
その結果、かつて超常現象や神の奇跡だと思われていた光の正体が、「フォトラブドゥス・ルミネッセンス(Photorhabdus luminescens)」という、土の中に棲む「発光バクテリア」であることが判明したのだ。
虫をドロドロに溶かすバクテリアが人間を救った?
バクテリアが傷口に入り込むと聞くと、感染症を引き起こす恐ろしいイメージしかないだろう。しかし、このフォトラブドゥス・ルミネッセンスは人間に害を与える菌ではなく、「昆虫」を標的とする病原菌だった。
このバクテリアは、土の中にいる極小の線虫の腸の中に住み着き、共生関係を築いている。線虫が獲物となる昆虫の血流に侵入すると、バクテリアを放出する。するとバクテリアは昆虫にとって致命的な毒素を出し、さらに死骸をドロドロに分解する酵素を分泌して、線虫と一緒に昆虫の組織を「食べる」のだ。
このバクテリアの凄いところは、自分たちの食料(昆虫の死骸)を他の菌に奪われないように、「他のバクテリアの繁殖を防ぐ(殺菌する)特殊な分泌物」を出す点にある。
シャイローの戦場に倒れていた兵士たちの血の匂いにつられて、このバクテリアを宿した昆虫(や線虫)が傷口に群がった。そして傷口でバクテリアが繁殖した結果、彼らが放つ強力な「殺菌成分」が、当時の兵士たちの命を奪っていた感染症や壊疽を食い止め、天然の抗生物質として機能したのである。
ちなみにこのバクテリアが出す毒素の一つは、文字通り「毛虫をフニャフニャにする(makes caterpillars floppy)」と名付けられており、現在では農作物を害虫から守るために利用されている。人間にとっては奇跡の救世主だが、虫たちからすればたまったものではない。

低体温症という「不幸中の幸い」
ここでビルとジョンの2人の高校生には、もう一つの疑問が残った。
「もしこのバクテリアが傷口を治してくれるなら、なぜ普段の生活で人間がケガをした時には光らないのか?」
その答えは、その後の実験であっさりと判明した。この発光バクテリアは、人間の平熱(約36〜37度)では熱すぎて生き残ることができないのだ。
しかし、シャイローの戦場では冷たい雨が降り注ぎ、兵士たちは夜の寒さで「低体温症」に陥っていた。皮肉なことに、この低体温症によって兵士たちの体温が下がり、傷口が冷え切っていたからこそ、バクテリアが繁殖して傷を消毒することができたのだ。
ビルとジョンはこの研究で、2001年のインテル国際学生科学技術フェアで1位に輝き、あのスミソニアン博物館の特集記事にも取り上げられるという快挙を成し遂げた。
暗闇の戦場で兵士たちを救った「天使の輝き」。その正体は、羽の生えた美しい天使ではなく、冷たい泥の中にうごめく微生物と、不運な低体温症が奇跡的に重なり合って生まれた、大自然の小さな魔法だったのだ。
参考:Popular Mechanics、ほか
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2024.10.02 20:00心霊【戦場の奇跡】傷口から青い光を放つ兵士だけが生き残った!? 139年間解けなかった南北戦争のミステリー「天使の輝き」の正体のページです。奇跡、天使、南北戦争などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
