絶滅したはずの「肉食バエ」が米国に再来! 生きた牛を体内から喰い殺す“最悪の寄生虫”の恐怖

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 絶滅したはずの恐ろしい肉食のハエが再び姿を現した――。寄生した牛を食い尽くす残虐なハエの撲滅作戦に米当局が再び着手したようだ。

■恐ろしい肉食バエの撲滅作戦に着手

 一般的に「ニューワールド・スクリューワーム(New World screwworm)」と呼ばれる「ラセンウジバエ(Cochliomyia hominivorax)」が再び中央アメリカとテキサス州南部で猛威を振るっている。一度は駆除されたはずのこのハエが、どういうわけか再び姿を現したのだ。

 このハエは牛に卵を産みつけるのが好きで、孵化するとウジ虫が牛の肉に潜り込み、牛をゆっくりと苦しめながら死に至らしめる。

 ラセンウジバエは牛を見つけると身体を検分して傷口を探し、もし見つからない場合は、鼻孔などの露出した粘膜に卵を産みつける。

 卵は孵化すると恐ろしいショーが始まる。そのショーの模様を米国農務省は次のように説明する。

「(ウジは)傷口に潜り込み、材木にネジをねじ込むように、食い進みながら栄養を摂取する。ウジは鋭い鉤のある口で宿主の組織を引き裂き、広範囲に損傷を与える」

a ウジ虫が食い荒らすと、傷口は拡大し、壊死に至る。これがさらに多くのラセンウジバエを引き寄せ、さらに卵を産みつけるため、事態はすぐに手に負えなくなる。450㎏の牛が2週間で死ぬ可能性があるともいわれている。

 このハエの犠牲になるのは牛だけでなく、野生動物、ペット、そして人間にさえも被害が及ぶ可能性がある。

 だが幸いなことに有効な撲滅手段がある。

 ラセンウジバエの生物学的な特性に、成虫となった3週間の寿命の中でメスのハエはたった一度しか交尾しないことが挙げられる。

「不妊虫放飼法(ふにんちゅうほうしほう)」は、特別に飼育された不妊の雄バエを数百万匹、あるいは数十億匹も飛行機からラセンウジバエの蔓延地域に投下する大胆な手法だ。

 その結果、多くのメスは生涯唯一の交尾を不妊のオスに捧げることになることで産卵数も劇的に減少し、やがてハエは絶滅してしまうのである。この方法は奇妙に思えるもののきわめて効果的で、米当局は前回もこの方法で撲滅したのだ。

 とはいえ、この方法を実現するには、飛行機から大量のハエを放つ必要がある。そのため米当局は現在、テキサス州とメキシコにある2つの古いハエ生産施設を再整備して再稼働させ、不妊ハエ生産の取り組みに着手しているという。

 もうすぐ実施されることになるラセンウジバエの撲滅作戦が功を奏することを期待したい。

参考:「Daily Mail」、「Oddee」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
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