5年で361人の少年が犠牲に… 南アフリカの伝統的な“成人式”が、なぜこれほど危険なのか

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画像は「Daily Star」より

 南アフリカで十代の少年39人が死亡する事件が起きた――。その死因は無謀な集団割礼の失敗であった。

■少年39人が死亡した残酷な“成人式”

 南アフリカの村で今年行われた“成人式”は、39人の死者を出す悲惨過ぎる事件となった。

 ウルワルコ(Ulwaluko)と呼ばれる毎年恒例の“成人式”は何世紀にもわたって秘密裏に行われており、村から離れた場所に特別に建てられた小屋で行われ、部族の長老と若い修行者だけが立ち入りを許されている。

 そこで行われているのは割礼儀式だ。少年の陰茎の包皮を切除する外科処置が近代医学の知識のない伝統的な“外科医”によって行われ、その後に多くの少年たちが壊疽、敗血症、脱水症などで死亡しているのだ。

 文化的伝統により、ウルワルコの儀式を受けない若者は部族の会合に出席することや、特定の社会活動に参加すること、さらには結婚することさえ禁じられるという。ウルワルコは少年たちにとって必須の“成人式”なのだ。

 政府は今年、この風習による死者ゼロを目標としていたが、残念ながら39人が命を落とすことになった。昨年の93人より大幅に少ない数字ではあるのだが、悲しいことに過去5年間で361人の少年が命を落としている。

 また昨年には一命は取り留めたものの、陰茎の切断手術を余儀なくされたケースが11件発生しているという。

 南アフリカ政府は、無資格の“外科医”が杜撰な割礼を行う違法な施設を何百も設立した犯罪組織に責任があると主張している。

 毎年、違法な施設が12歳の少年を誘拐し、手術を施した後、息子の返還と引き換えに両親に身代金を要求する事件が数百件報告されている。現在は無登録の施設の設立を禁止する法律が制定され、すべての伝統的“外科医”には資格取得が義務付けられている。警察は現在、これらの違法施設を閉鎖し、責任者を逮捕する権限を有している。

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画像は「Daily Star」より

 高い死亡率にもかかわらず、毎年何万人もの少年たちが、少年から成人への移行を示すこの“成人式”を受けている。この伝統は、悲しいことに何世代にもわたって受け継がれて今に至る。

 統治・伝統省の大臣は、2025年までに登録された施設での死亡者数をゼロにするという目標を設定し、警察は違法施設を閉鎖する措置を続けてきたが、残念ながら目標は達成されたなかった。

 全国伝統的指導者会議副議長で部族長のシポ・マラング氏によると、死亡したり少年の80%は、こうした違法な施設の犠牲者だという。

 ともあれ一刻も早い対策が求められていることは間違いないが、コミュニティに民主主義が根付くことも重要なのだろう。

参考:「Daily Star」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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