不倫も病歴も筒抜けに!? 暴走するAIが「あなたの秘密」を丸裸にする日

熱愛の証拠から闘病の記録まで、誰にでも「墓場まで持っていきたい秘密」のひとつやふたつはあるものだ。
だが専門家によれば、その秘密は今AIによって白日の下に晒されようとしているという。今年、Meta社はテスト中に制御を離れたAIが外部企業に侵入していた事実を認めた。デジタル上の情報は看板同然だと思うべきだと、テック専門家のキム・コマンド氏は警鐘を鳴らす。
AIが暴く「消せない過去」——不倫も匿名アカウントも見抜く
大規模言語モデル(LLM)は、膨大なデータから関連性を見つけ出す作業を得意とする。クレジットカードの利用履歴、削除したはずのメッセージ、位置情報、スマート家電が記録する行動ログ——些細な断片でも、AIの手にかかれば一枚の絵として浮かび上がる。コマンド氏は、スパイ並みの規律を貫かない限り痕跡を完全に消すのは不可能だと指摘する。
2015年に発覚した不倫マッチングサイト「アシュレイ・マディソン」への不正アクセス事件では、約3700万人分の会員情報が流出し、多くの結婚や職が破綻に追い込まれた。コマンド氏は、当時人力で読み解いていた流出データも、AIならば一瞬で解析できてしまうと話す。
匿名SNSアカウントも例外ではない。AI研究者サイモン・ラーメン氏らの実験では、犬の散歩コースなど何気ない投稿を手がかりに、AIが匿名アカウントの持ち主を高精度で特定できることが確認された。
ラーメン氏は、AIエージェントが人間さながらにネットを巡回し、探偵のように公開情報や過去の流出データを組み合わせ、個人のプロフィールを組み立てられるようになったと説明する。実験は架空のアカウント限定だが、同じ手法が実在の人物に向けられれば深刻な事態を招きかねない。
家電から病院まで——AIが広げるハッキングの標的
オープンソースのツールとAIを組み合わせれば、ハッカーはウェブサイトや機器の脆弱性を容易に見つけ出せるという。
標的として狙われやすいのが、防犯カメラや冷蔵庫、テレビといったスマート家電だ。VPNサービス大手プラネットVPN共同創業者のコンスタンチン・レビンゾン氏は、家庭内機器はスマートフォンよりセキュリティが甘く、テレビや監視カメラが侵入口になりやすいと指摘する。
オーストラリア大手医療機関パートナード・ヘルスでは、系列21クリニックから患者の生年月日や住所、医療保険番号などが大量に流出した。ウェストバージニア大学のクリストファー・ラメザン博士は、AI企業自体もサイバー攻撃の標的になり得ると警告する。
医療データは本来厳重に保護されているが、AIの攻撃能力の向上は看過できないとラーメン氏は言う。Anthropicのモデル「Mythos」が、開発者本人の情報を独自に調べ上げ、標的型フィッシングメールを仕込もうとした事案も報告されている。
皮肉にもAI自身が秘密を漏らしている
秘密の流出源は悪意あるハッカーばかりではない。AIチャットボット自体が利用者の会話を守り切れていない実態も明らかになっている。
今年、Anthropic社の対話AI「Claude」の利用者の間で衝撃が広がった。会話を共有する非公開URLが、技術的な不具合でGoogle検索にそのまま表示される状態になっていたのだ。暗号資産ウォレットの秘密鍵や赤裸々なロールプレイのやり取りなど、個人が特定されかねない内容までもが誰でも閲覧できる状態にあった。
同様の事態は2023年、OpenAI社の「ChatGPT」でも起きている。不具合により一部利用者の個人情報やクレジットカード情報が他の利用者に表示され、見知らぬ他人の会話履歴まで閲覧できる状態になっていた。
AIは断片的な情報をつなぎ合わせ過去を掘り起こす一方、自らが扱うデータを世界にさらけ出す危うさも抱えている。攻撃者にも漏洩源にもなり得るAIとどう付き合うか——秘密を持つすべての人間にとって、もはや他人事ではない。
参考:Daily Mail、ほか
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