【TOCANA的UMAファイル #16】「ビリ・エイプ」── ライオンを殺すという類人猿、頭骨だけがゴリラだった

コンゴ民主共和国の奥地、ビリという小さな町の近くで見つかった頭骨には、額から頭頂にかけてゴリラそっくりの隆起が走っていた。地元の猟師たちは、この生き物を「ライオン殺し」と呼んで恐れていたそうだ。写真家がその頭骨を手に入れたのは1996年のことだが、話はそこから、思いもよらない方向へ転がっていく。
基本データ
名前:ビリ・エイプ(Bili Ape)。「ボンド・ミステリー・エイプ」の別名でも呼ばれる
生息地:コンゴ民主共和国北部、ウエレ州ビリ周辺の熱帯林
初出:頭骨自体は20世紀初頭に収集されていたとされるが(年代は資料により1898年説・1908年説などに割れる)、「謎の巨大類人猿」として脚光を浴びたのは、写真家カール・アマンが1996年に本格的な調査に乗り出してからだ
姿:体つきはチンパンジーそのものだが、頭頂にゴリラを思わせる矢状稜(隆起)を持つ個体が混じるという。地元の証言では、体高が成人男性を上回ることもあると語られる
由来:発見地である町「ビリ」の名から。地元の猟師の間では、普通のチンパンジーを指す「木の叩き手」と、獰猛な個体を指す「ライオン殺し」という、2つの呼び名で区別されていたと伝わる
事件簿
1996年、カール・アマンは、地元猟師から買い取った頭骨に導かれてビリを訪れた。ゴリラのものだと思われていたその頭骨が、よく見ると顔つきはチンパンジーに近いという奇妙な特徴を持っていたからだ。猟師たちは、この生き物がライオンさえ殺し、毒矢を受けても平然としていると語ったと伝わる。
2003年には、研究者シェリー・ウィリアムズが現地で群れに遭遇したと発表した。わずか10メートルほどの距離から4頭が突進してきたといい、体高は6フィート(約180センチ)に達していたと証言した。もっとも、この報告の学術的な扱いをめぐっては、当時から異論もあったようだ。
その後、調査を引き継いだクリーブ・ヒックスは、地道に巣や糞からサンプルを集め続けた。そして2006年、DNA解析の結果が発表される。
ホントカナ?
正体候補として語られたのは、新種の類人猿説、あるいはゴリラとチンパンジーの雑種説だった。頭頂の隆起はゴリラの特徴そのものであり、体格も証言によっては普通のチンパンジーの枠をはみ出していたからだ。
だが、糞から採取したDNAを調べたクリーブ・ヒックスらの研究チームは、東部チンパンジー(Pan troglodytes schweinfurthii)という、既に知られていた亜種だとの見方を示した。新種でも雑種でもない、という拍子抜けするような答えだった。
面白いのはここからだ。研究チーム自身、この独特な体つきや行動が、遺伝的にはごくわずかな違いから生まれたらしいと指摘している。つまり、DNA上はほとんど区別がつかないはずのチンパンジーが、なぜ頭骨の形も、狩りの仕方も、ここまで違って育ったのかは、いまだに説明がついていない。しかも地元の猟師たちは、科学者が答えを出すはるか前から「木の叩き手」と「ライオン殺し」をきちんと見分けていた。DNAが追いついたのは、猟師たちの経験則がとうに見抜いていたものだった、ということになる。
TOCANA的まとめ
ビリ・エイプ騒動が残したものは、新種発見のニュースではなかった。むしろ、コンゴ奥地の森がいかに調査され尽くしていないかを、世界に思い知らせた一件だったと言えるだろう。この調査をきっかけに、地域一帯はチンパンジーの保護区として注目されるようになったとも伝わる。
DNA鑑定はビリ・エイプを「ただのチンパンジー」と結論づけた。それでも、あの森に分け入れば、まだ誰も名付けていない何かに出会えるかもしれない──そう思わせる場所が、地球上にまだ残っていること自体が、よほどロマンチックではないだろうか。
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2024.10.02 20:00心霊【TOCANA的UMAファイル #16】「ビリ・エイプ」── ライオンを殺すという類人猿、頭骨だけがゴリラだったのページです。コンゴ民主共和国、UMA、TOCANA的UMAファイルなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで