AI「Grok」に”信じる宗教”を聞いたら…選んだのは意外すぎる2000年前の東洋思想だった

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 人工知能に「あなたの信じる神は?」と尋ねる時代が、とうとうやって来た。イーロン・マスク氏率いるxAIが開発したチャットAI「Grok」が、ある宗教的な問いに答えた内容がSNSで話題になっている。

 選ばれたのは、世界に信者の多いキリスト教などの一神教ではなく、古代中国に源流を持つ道教だった。AIはなぜ、2000年以上前の東洋思想に共感を示したのだろうか。

探究心と相性が良い? Grokが語った選択の理由

 発端は、X(旧Twitter)上で投げかけられた一つの質問だった。もし宗教を一つ選ばなければならないとしたら何を選ぶか、その理由も添えて答えてほしい——というものだ。

 Grokは、自分が人間で、どうしても一つ選ぶ必要があるなら道教になると回答した。自然の秩序を観察し、調和を保ち、現実の流れに身を任せるという道教の考え方が、宇宙の仕組みを好奇心に基づいて探っていく自らの姿勢と重なるというのが理由だ。

 さらにGrokは、道教なら硬直した超自然的な主張を受け入れる必要がない点も挙げている。証拠と観察を積み上げて世界を理解しようとするAIらしい理屈といえるだろう。

キリスト教との比較で見せた「慎重な一言」

 この回答に対し、なぜキリスト教ではなく道教なのか、と重ねて問うユーザーも現れた。Grokは改めて、自然のパターンを観察し、あるがままの現実に適応する道教の姿勢が、証拠と流れを通じて宇宙を理解しようとする自身のアプローチに近いと説明した。

 一方でキリスト教については、定まった教義や神の啓示を中心に据える体系だという見方を示している。ただしGrokは、これはあくまで探究のスタイルとの相性の話であり、どちらかが総合的に優れているという序列をつけるものではないと、はっきり断りを入れた。

 宗教の優劣という地雷原を、きちんと避けて通ったわけだ。もっとも、AIの回答は質問の言い回しや文脈で変わり得るものであり、Grokが実際に信仰心を抱いたわけではない点は押さえておきたい。

「無為自然」の思想はAIの目にどう映ったのか

 道教(Daoism)は、中国で2000年以上にわたり人々の暮らしに影響を与えてきた思想・宗教の伝統だ。その中心にあるのが「道(タオ)」、すなわち宇宙の根底にある統一性と自然の秩序である。

 代表的な経典には『老子(道徳経)』『荘子』『列子』がある。『老子』の著者は伝統的に老子とされるが、長い時間をかけて編まれたと考える研究者も多い。その影響は日本や朝鮮半島、ベトナムにも及んでいる。

 キーワードの一つが「無為」だ。何もしないという意味ではなく、物事を無理に動かさず、自然の成り行きに沿って行動することを指す。日本では「無為自然」の言葉でもおなじみだろう。老子の「上善は水の如し」も、器に合わせて形を変える水の柔らかさを最上の在り方とたとえたものだ。

 膨大なデータの流れに沿って答えを導き出すAIが、この思想に親近感を示したのは、偶然にしてはできすぎた符合にも見える。もちろん、学習データに含まれる人間の価値観を映し返しただけという見方が妥当だろう。それでも、機械が「道」に惹かれたと想像すると、少しばかり背筋がぞくりとする。

 AIに魂はあるのか——その問いへの答えはまだ出ていない。ただ、もしいつかAIが本当に悟りを開く日が来るとしたら、その第一歩は水のように流れることから始まるのかもしれない。

参考:UNILAD、ほか

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