冤罪処刑だったのか? 小1女児2人殺害「飯塚事件」久間三千年が獄中で訴え続けた「警察の捏造」! 妻も主張「夫は正義感の強い人間」

■突如見つかった「疑惑の血痕」

冤罪処刑だったのか? 小1女児2人殺害「飯塚事件」久間三千年が獄中で訴え続けた「警察の捏造」! 妻も主張「夫は正義感の強い人間」の画像5

久間の死刑執行後、担当検察官らが作成した「死亡帳」

 弁護団関係者によると、久間は「相手が誰でも言うべきことは言う性格」だったという。それは、冒頭の手記からも窺える。久間は処刑の直前まで、警察による証拠捏造を強く訴えていたのだ。

 〈平成四年九月二九日にルミノール検査をした筈の警察がシートの裏側に付着していたという血痕を平成六年四月まで発見できなかったのも不自然なら、その部位のシート表面から、ルミノール反応が全く出ていないのは、全く説明不能という外はない〉

 久間の裁判で有罪の決め手にされたのは、科警研のDNA型鑑定だが、捜査段階で逮捕の決め手となったのが「血痕」だった。それは1994年4月、久間の車の後部座席シートから検出されたのだが、実はその1年半余り前、福岡県警が久間の車の中をルミノール検査した際には検出されていなかったという不思議な証拠だった。
 
 警察の捜査が難航する中、このように重要な物証が突如、不可解な形で見つかり、容疑者が検挙されるというのは重大な冤罪事件でよくあることだ。

 久間は手記で、〈警察が証拠を捏造して逮捕したあの時から14年の月日が流れた〉と言い切り、こう訴えている。

 〈私は無実の罪で捕われてから、拘置所に十四年収監されている。今年の一月九日で七〇歳になった。本件は冤罪事件だけに、重大な人権侵害である〉
 
 この手記を書いて80日余りのち、ある朝突然、死刑の執行を告げられた時、久間の心中はどんなものだったろうか。

 妻は声明文で、こう綴っている。

 〈夫は死刑が確定した後も無実を訴え続けました。再審請求の準備中に、足利事件でDNA再鑑定が決まり、夫の事件でも希望が見え始めていたとき、突然に命を奪われました。そのときの気持ちは言葉で表すことができません〉

 福岡高裁で行われている再審請求即時抗告審は実質的審理を終えており、もうすぐ結果が出る見通しだ。公正な判断を期待したい。

文=片岡健

ノンフィクションライター。全国各地で新旧様々な事件を取材している。著書に『平成監獄面会記』(サクラBooks)、編著に『桶川ストーカー殺人事件 実行犯の告白』(KATAOKA)など。同書のコミカライズ版『マンガ「獄中面会記」』(カルトコミックス、作・塚原洋一)が8月8日に発売。
Twitter:@ken_kataoka

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