――ユンさんのイリュージョン・アートはとてもユニークですね。なぜ、イリュージョン・アートを始めたのですか?
ユン 若い頃からいつもアートに親しんできて、絵を描いている時が一番楽しかったのです。イェウォン芸術中学校、ソウル芸術高校で絵画を学び、実技試験を主席で卒業しました。この2つの学校は、韓国でもっとも有名な芸術学校です。教育を通して、私の才能は写実的(ハイパーリアリスティック)な絵画にあると気づきました。私は、いつも他の人たちが踏み入れない領域に関心を持っていたのです。そのため、“イリュージョン・アート”に挑戦することにしました。
ユン・ダイン作 「into bits of dain」
――ご自身の身体にペインティングしている作品が多いようですが、そこにはどのような意図が込められているのでしょうか?
ユン なにか特別ユニークなもの――たぶん他に誰もやっていないもの――にペインティングしたかったんです。それで私は、自分の身体をキャンバスとして選びました。自分の知覚を、自分自身の体に伝えるにはもっとも効果的だと思ったのです。それに私は、いつも人間に興味を抱いており、人間が(本来は)持っている多次元的視点を表現したいと思っているので、そのアイデアを自分の身体に描くことにしました。
また、多くの人は空を見た時、ただ単に空が青いと思います。でも実際は、空の色はとても多くの色彩から成っています。このように、人々は決まりきった見方にとらわれがちです。つまり人間は、歪んだ世界に生きているのです。だから私のイリュージョンは、ほとんどの人が一般的に共有している知覚に一捻りを加えるものでもあります。
ユン・ダイン作 「when I see you」