「世界人口の200人に1人が子孫」説は本当か!? チンギス・ハンの長男の墓かもしれない遺骨のDNA鑑定結果

「世界人口の200人に1人が子孫」説は本当か!? チンギス・ハン長男の墓とされる霊廟から出土した遺骨のDNA鑑定結果の画像1
画像は「Wikipedia」より

 新たな研究ではチンギス・ハンの長男ジョチの出生疑惑が晴れる可能性が高く、そうであればこの世の200人に1人がチンギス・ハンの血統を受け継いでいることになるという――。

■チンギス・ハンの長男の墓を発見か

 モンゴル帝国の初代皇帝、チンギス・ハン(1206-1227)には正妻ボルテとの間に生まれた4人の息子がいたが、多数の側室や略奪婚による子ども多く存在しており、一説では産ませた子どもが1000人以上いるともいわれている。

 2003年の研究ではアジア全域の16の異なる集団を調査し、この地域の男性の約8%が、約1000年前のモンゴルに起源を持つY染色体系統を有しており、世界全体の約0.5%を占めていることが報告されている。つまり世界人口の200人に1人がチンギス・ハンに繋がる血脈を宿していることが推測されるのである。

 そして今回の新たな研究により、チンギス・ハンに由来するY染色体系統の痕跡がカザフスタンの一連の中世の霊廟で発見されたことが報告されている。

「世界人口の200人に1人が子孫」説は本当か!? チンギス・ハン長男の墓とされる霊廟から出土した遺骨のDNA鑑定結果の画像2
Image by Jonas KIM from Pixabay

 日本、カザフスタン、米国の考古学者と遺伝学者のチームが今年2月に「Proceedings of the National Academy of Sciences」で発表した研究は、中世の霊廟でチンギス・ハンの直系の子孫の一人のDNAを発見した可能性があると示唆している。

 これらの墓群は、カザフスタンのウリタウ地方に位置しており、この地域はかつてモンゴル帝国の「黄金の大群」として知られる一派が支配していた。帝国の西側を支配していたこの一派は、チンギス・ハンの長男ジョチの子孫であったのだ。

 地元の言い伝えでは、今回の研究で分析された霊廟の一つはジョチの永眠の地であると信じられている。研究チームはそこに誰が埋葬されているかを証明することはできなかったが、霊廟に埋葬された3人の男性全員に共通の祖先がいることを突き止めた。

 3人全員がハプログループC3のY染色体特徴を持っており、これは前述の2003年の研究で人口の0.5%に見られるもので、チンギス・ハンに由来するとされた特徴と同じである。このY染色体の系統は、霊廟に埋葬された人々が、この地域に居住するトルコ人の遺伝子構成ではなく、モンゴル人の遺伝子特徴を持っていることを示唆している。

 だが、この霊廟にジョチ本人の遺骨が安置されているかどうかについては疑問が残る。放射性炭素年代測定によると、埋葬はジョチが亡くなったとされる時期よりも後に行われたことが示されている。またモンゴルの伝統では、重要人物の埋葬においてこのような壮大な墓所よりも、人目につかない場所の小ぶりな墓が好まれたことが知られている。

 しかし、もしこの3人のうちの1人がジョチであったとすれば、Y染色体で繋がる共通の血統の存在がチンギス・ハンに由来することをさらに裏付けるだけでなく、チンギス・ハンの子孫に関する何世紀にもわたる論争に終止符を打つ可能性もあるのだ。

 ジョチはチンギス・ハンの最初の妻、ボルテとの間の長男として生まれた。

「世界人口の200人に1人が子孫」説は本当か!? チンギス・ハン長男の墓とされる霊廟から出土した遺骨のDNA鑑定結果の画像3
ジョチ像 Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0)

 しかし二人が結婚して間もない妊娠前のボルテは、ハンに恨みを抱くメルキト族の民に誘拐された。最終的にハンは妻を救出したが、伝えられるところによると、誘拐の間の彼女はメルキト族の民にレイプされていたことが現存する最古のモンゴル語文学作品『モンゴル秘史』に記されている。

 その後にジョチが誕生し、チンギス・ハンは彼をためらいなく長男として扱ったが、ジョチの父親が誘拐犯である可能性が、次男のチャガタイとの間に緊張を生み出した。

 ジョチは当初チンギス・ハンの後継者と目されていたが、もし彼が庶子であった場合、チャガタイが次期後継者となる可能性が当然ながら高くなる。二人の息子の確執を見かねたハンは最終的に二人とも後継者候補から外し、三男のオゴデイが後継者となるという皮肉な顛末を迎えている。

 したがってもし聖廟にいる男性の1人が本当にジョチであるならば、今回の研究はチンギス・ハンのY染色体の系譜を確認しただけでなく、何世紀にもわたって続いてるジョチの出生疑惑も解決したことになる。まさに一石二鳥の研究結果ということになるが、それを断言するに科学的裏付けがもう一押し必要なのだろう。

参考:「Popular Mechanics」ほか

関連キーワード:, , ,

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

仲田しんじの記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

「世界人口の200人に1人が子孫」説は本当か!? チンギス・ハンの長男の墓かもしれない遺骨のDNA鑑定結果のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで