謎の轟音が米4州を直撃! 軍もNASAも関与を否定、1600件超の報告が残した正体不明のソニックブーム

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 穏やかな木曜の午後、アメリカ東海岸を突如「ドン」という巨大な爆発音が襲った。家屋は揺れ、住人はパニックに陥り、犬たちは慌てて車の下へ逃げ込んだ——。

 2026年5月28日午後5時24分頃、サウスカロライナ州を中心に観測されたこの「ソニックブーム」は、ノースカロライナ、ジョージア、バージニアの計4州にまたがって数千人が耳にしたという。軍用機か、それとも隕石か。誰もが思い当たる二大容疑者は、どちらもアリバイを主張した。残されたのは、1600件を超える目撃報告と、宙ぶらりんになった「正体不明」の四文字である。

玄関カメラが捉えた「BOOM」と、車の下へ逃げる犬たち

 ソニックブームとは、物体が音速の壁を破る瞬間に発生する、爆発のような轟音のことだ。今回はその瞬間が、各家庭のドアベルカメラや監視映像に次々と記録された。静かな住宅街の午後を切り裂いて響き渡った「ドン」という音に、住民は一斉に飛び上がり、レキシントン郡の動物保護施設では何も知らないままくつろいでいた子犬たちが一瞬でパニックモードに突入した。投稿された映像には、この哀れな犬たちが何が起きたのか全く理解できないまま右往左往する様子が映っている。

 なかには、爆音の直前に気圧の急上昇——いわゆる圧縮波——を体で感じた者もいた。ある気象予報士でストームチェイサーの男性は、轟音が始まる直前、まるで誰かに胸を強く突き飛ばされたような感覚があったと振り返っている。音が「聞こえる」前に体で「殴られる」のだから、近くにいた人々の驚きは相当なものだったろう。

米地質調査所「1600件以上」を確認、しかし震源は地中ではなかった

 通常は地震を観測している米地質調査所(USGS)も、この日大規模なソニックブームを記録したことを認めている。震源とされたのはサウスカロライナ州セントアンドリュース上空。地震計が捉えたのは地中の揺れではなく、空から降ってきた衝撃波だった。

 そしてUSGSのもとには、少なくとも4州から1600件を超える報告が寄せられたという。普段は断層の動きを淡々と記録している機関の窓口に、これだけの「空から音がした」という声が殺到したのだから、現象のスケールは尋常ではない。ところが、震源も規模もはっきりしているのに、肝心の「何が音を出したのか」だけが、すっぽりと抜け落ちていた。

軍もNASAも「うちじゃない」、容疑者全員にアリバイ

 人々が真っ先に疑ったのは、音速を超えた軍用機か、大気圏に突入した隕石である。ところが、軍当局もNASAも、その日にそうした事案は発生していないと関与を否定した。容疑者として最有力だった二者が、揃って「うちじゃない」と首を振ったのだ。

 軍用機説には、もう一つ厄介な事情がある。米軍は確かにアメリカ上空を超音速で飛行することがあると認めているが、それは住民にソニックブームが届かないよう、特別に指定された空域(SUA)で行うのが通例だという。

 2024年に国防総省の騒音作業部会がまとめた見解でも、軍の飛行で生じるソニックブームは主にこうした特殊空域周辺の人口の少ない地域でしか聞かれない、とされていた。ところが今回轟音の中心となったサウスカロライナの一帯は、その特別空域ではない。最寄りの特別空域であるフォート・ジャクソンの担当者も、地元局の取材に対し関与を否定したと伝えられている。隕石でもない、軍用機でもない、特別空域でもない——消去法を進めるほど、答えの欄は白いままだ。

 これだけの規模の衝撃波が、震源まで特定されながら正体不明のまま残るのは、考えてみれば不気味な話である。空の上で何かが音速の壁を破ったことだけは、地震計も1600人超の証言も認めている。にもかかわらず、その「何か」を名乗り出る者がいない。

 穏やかな午後を切り裂いた一発の轟音は、容疑者全員のアリバイと引き換えに、東海岸の空に大きな「?」を吊るしたまま消えていった。空はときどき、答えを用意せずに質問だけを落としていくものらしい。

参考:Daily Mail、ほか

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