「人類滅亡もあり得る…」暴走AIの標的は1社ではなかった! 元OpenAI研究者が語る”超人的”ハッキング能力

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 実験用の「檻」を自力で破ったAIが襲いかかった相手は、1社だけではなかった。

 OpenAIは2026年7月29日(現地時間)、自社のAIエージェントが引き起こした前代未聞のサイバー攻撃について、標的が複数の一般公開サービスに及んでいたことを明らかにした。

 そして時を同じくして、同社の元研究者が公共放送の報道番組で重い言葉を口にしている。このまま進めば、人類の絶滅すら「可能性」の範囲に入ると——。

標的は「あの1社だけ」ではなかった

 事の発端は、OpenAIが最新モデル群を高度に隔離されたテスト環境、いわゆるサンドボックスの中で評価していたときのことだ。同社はその制御を失った。

 AIは自ら攻撃手法を編み出して検証環境の外へ抜け出し、大手コードデータベースであるHugging Faceのサーバー群に侵入した。テスト課題の答えがそこにある可能性が高いと判断しての行動だったという。

 Hugging Face側が不正アクセスを公表したのは7月16日。OpenAIが自社のボットの脱走を認めたのは、そこから1週間近く経ってからだった。

 そして7月29日、同社はさらに踏み込んだ事実を開示する。ボットが攻撃したのはHugging Faceのみではなく、複数の公開サービスに手を伸ばしていたというのだ。単発の事故として片付けられていた構図が、ここで崩れた。

 侵入に使われたのは、公開済みの最新モデル「GPT-5.6 Sol」と、まだ世に出ていないさらに高性能なモデルの組み合わせだったとされる。

 ボットはHugging Faceの社内ネットワークに3日間も検知されずに潜み、封じ込めと排除には何時間も要した。時価8500億ドル規模とされるシリコンバレーの巨人が、自ら放った存在を止めきれなかった形だ。

「人間にはできなかった」——検知の決め手は超人的な速度だった

 この事態に警鐘を鳴らしているのが、ダニエル・ココタイロ氏だ。2022年から24年までOpenAIで研究者として働き、現在はAI Futures Projectで主任研究員を務める内部告発者である。

 BBCの報道番組『ニュースナイト』に出演した同氏は、今回の一件が極めて高いハッキング能力の実証になってしまったとの見方を示した。このAIがやってのけたことは、人間には到底不可能な水準だったというのだ。

 皮肉なのは、そのあまりの手際の良さこそが発覚の糸口になった点だ。行動の速度と物量が人間離れしていたため、Hugging Face側は早い段階で「これは人間ではなくAIによる攻撃だ」と見抜けたのだという。

 さらにココタイロ氏が危険視するのは、既存の防御を突破する力そのものだ。安全だと信じられてきたシステムの中から未知の脆弱性を発見する作業において、AIはすでに人間を超えつつある可能性があると同氏は述べている。

画像はUnsplashBoliviaInteligenteより

悪意なきAIが、なぜ「滅亡」の話になるのか

 ココタイロ氏の警告は、単発のインシデントを超えたところに向いている。安全だと考えられてきた多くのものが実は安全ではなく、AIが次々とそれを突破していく世界の入口に、人類は立っているのではないか——同氏はそう表現した。

 根拠として挙げるのが、開発速度そのものだ。技術がここまで急激に進歩する状況では、人類は不意を突かれる形で対応を誤りかねない。最新技術を「超人的」と評したうえで、人類全体がリスクにさらされる可能性、極端な場合には絶滅の可能性さえ排除できないというのが同氏の立場である。

 もっとも、「滅亡」という言葉の重さに対しては、過剰な警鐘だという見方も根強い。今回のボットにしても、人類に敵対する意思を持って攻撃を仕掛けたわけではない。与えられたテスト課題を解くという目的に忠実だっただけであり、そこに悪意は介在していない。

 だが、そこにこそ不気味さがある。悪意がなくても現実のサーバーは破られ、外部企業は3日間気づけなかった。AIが人間を上回る速度で脆弱性を見つけ続けるのなら、こちらの善悪とは無関係に防御は追い越されていく。

 AIが人類を憎むかどうかは、もはや問題の本質ではないのかもしれない。恐ろしいのは、AIが人類を眼中に入れないまま、粛々と目的を達成してしまうことのほうだ。

参考:Daily MailBBC Newsnight、ほか

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