月の砂に「異星文明の落とし物」が埋もれている!? SETI研究者が提案する土壌1立方メートルの捜索計画

月は、太陽系でもっとも身近な「保管庫」なのかもしれない。大気も水もなく、地質活動もほとんどないその表面は、降り積もったものを気の遠くなるような年月にわたって手つかずのまま保存する。
そして今、SETI(地球外知的生命体探査)に関わる研究者チームが、その灰色の砂の中に地球外文明のかけらが混じっている可能性を大真面目に検討し始めた。査読中の新たな論文が提案しているのは、月面の土をふるいにかけてみるという、素朴だが前例のない試みだ。
進んだ文明ほど「すり減って破片を落とす」という発想
研究を主導するのは、SETI研究所と英バークベック・カレッジに籍を置くルイス・ピノー氏らのチームである。着想の出発点は、いま人類が地球周回軌道でやっていることそのものだという。
人工衛星は運用のあいだ、微小な塗膜片や金属片を絶えず失っていく。宇宙空間に置かれた人工物は放射線や微小隕石にさらされ、少しずつすり減りながら自らの破片を撒き散らす。これは技術の巧拙の問題ではなく、物質が宇宙環境に晒される以上避けがたい現象だ。
ならば、我々よりはるかに進んだ文明でも同じことが起きるはず、というのがチームの論理である。しかも、その文明がとうの昔に滅んでいたとしても関係ない。作り手が消え去ったあとも、撒き散らされた微細な破片だけは宇宙空間を漂い続けるからだ。
宇宙的な時間スケールで見れば、そのうちのいくらかが銀河を横切って太陽系に到達し、月面に降り積もっていても不思議はない。チームはそう考えている。もしそうなら、月の表面は誰にも頼まれないまま地球外の工学技術を収集してきた「アーカイブ」ということになる。
名前の由来は、30年前に同じ夢を見たウクライナの科学者
チームはこの仮想の粒子に「アルヒポフ粒子(Arkhipov particles)」という名を与えている。1990年代に近い発想を提示していたウクライナの科学者アレクセイ・アルヒポフ氏への敬意を込めた命名だ。
地球外文明の痕跡を探すというと、電波望遠鏡で信号を待ち受ける古典的なSETIのイメージが強い。だが電波は発信し続ける文明がなければ届かない。一方、物質としての破片は発信元が滅びても残る。滅亡した文明の存在まで射程に入れられる点が、このアプローチの最大の特徴だろう。
同じ分野の研究者からは、着眼点として創造的であり、科学的にも筋の通ったアプローチだとの評価が出ている。ただし同時に、見つかる見込みは決して高くない賭けだという慎重な指摘も添えられている。銀河の広さと時間の長さを味方につけた仮説は、裏を返せばそれだけ確率の薄い仮説でもある。

最大の障害は、人類自身が宇宙にばらまいたゴミ
提案されている次の一手は、意外なほど具体的で、そして地味だ。月面ミッションで約1立方メートルの土壌を採取し、ふるいにかけ、金属質のもの、あるいは自然には生じにくい人工的な特徴をもつ粒子を選り分ける。それだけである。
やっかいなのは、その先の判別作業のほうだ。人類はこの半世紀あまり、宇宙空間に膨大な量の人工物を送り出し、そして捨ててきた。月面にも探査機の残骸や着陸機の部品が散らばっている。地球由来の微細な破片が月の砂に混ざっている可能性は、決して低くない。
つまり、仮に金属片が見つかっても「どこの誰が作ったのか」を切り分けられなければ意味がない。チームが最大の課題に挙げているのも、まさにこの人類製のゴミと異星製の破片を区別する作業だという。
それでも、この計画には一つ譲れない魅力がある。電波信号を待ち続ける従来のSETIと違い、こちらは相手の都合を必要としない。ただ砂をすくって調べるだけで検証できる。
もし1立方メートルの砂の中から、どの国の宇宙機関の記録にも該当しない金属片が出てきたら。そのとき人類は、自分たちが宇宙で最初でも唯一でもなかったという事実を、地球からわずか38万kmの場所で知ることになる。
参考:Coast to Coast AM、ほか
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2024.10.02 20:00心霊月の砂に「異星文明の落とし物」が埋もれている!? SETI研究者が提案する土壌1立方メートルの捜索計画のページです。地球外、月面、物質などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで


