次の生物兵器は「体」ではなく「遺伝子」を狙う!? AI時代の脅威に「備えは不十分」と米シンクタンクも警鐘

人類の兵器開発は今、目に見えない次の段階に足を踏み入れようとしているのかもしれない。標的は兵士の肉体ではなく、人間の設計図そのものである「遺伝子」だ。
遺伝子編集技術と人工知能(AI)の急速な進歩によって、遺伝子に損傷を与えることを目的とした兵器が現実味を帯びつつある。米国の科学ライターが、そんな不穏な未来像に警鐘を鳴らしている。
枯葉剤から「黄色い雨」まで、すでに戦場で使われた”前例”
遺伝子を攻撃する兵器への懸念は、軍備管理の専門家の間で数十年前から語られてきた。より原始的な化学物質の形では、すでに戦場に姿を現しているとの指摘もある。
代表例がベトナム戦争だ。1962年から1971年にかけて、米軍機はベトナム全土に約7200万リットルもの除草剤を散布した。その多くを占めた「枯葉剤(エージェント・オレンジ)」には、製造過程でダイオキシン類の中でも最強の毒性を持つとされるTCDDが混入しており、先天異常との関連が指摘されてきた。
1980年代初頭には、当時のヘイグ米国務長官が、ソ連が東南アジアやアフガニスタンで「黄色い雨」と呼ばれるカビ毒を使用したと非難している。さらに1995年には、イラクのフセイン政権がカビ由来の毒素アフラトキシンを空爆用爆弾やスカッドミサイルの弾頭向けに開発していたことを国連に認めた。
この毒素は兵士を即死させるためのものではなく、長い時間をかけて肝臓がんを引き起こすとされ、特に子どもへの影響が大きいとされる。国連の元兵器査察責任者リチャード・スパーツェル氏は、子どもがゆっくりと死んでいくのを見届けることになる、道義的に最も残酷な兵器だとの見方を示していた。
米国家情報長官が「大量破壊兵器」リストに加えた遺伝子編集
こうした懸念に拍車をかけているのが、遺伝子編集とAIだ。2016年2月、当時のクラッパー米国家情報長官は、遺伝子編集を大量破壊兵器および拡散の脅威のリストに加えた。
その翌年には、中国人民解放軍が権威ある教科書の中で、特定の民族を遺伝的に狙う攻撃が今後ますます可能になり得ると言及したとされる。2024年には、ウクライナ侵攻のさなかにロシアが旧来の生物兵器研究施設を拡張していると米紙が報じた。
AIが新たなウイルスなどを設計する「合成生物学」の研究はすでに始まっている。薬剤耐性菌への対抗策として期待される一方、生物兵器に転用されるリスクもはらむ。AI企業Anthropicのダリオ・アモデイCEOも、この脅威を理由にAI開発のペースを落とすよう訴えたと伝えられている。
1972年の生物兵器禁止条約をはじめ、国際的な歯止めは存在する。しかし技術が拡散すれば、国家ではなく「はぐれ者」の個人や集団が攻撃を仕掛ける可能性も否定できないという。
「開発は極めて困難」でも油断できない理由とは
救いとなる材料もある。米国の科学者らが2018年にまとめた報告書『Biodefense in the Age of Synthetic Biology』は、この種の兵器の開発は極めて難しいと結論づけている。AIによって専門知識が手に入りやすくなったとしても、広範囲に被害を及ぼす形で実際に使用するには、依然として高い技術的ハードルがあるという。
一方で、米戦略国際問題研究所(CSIS)は2025年の報告書で、AIとバイオ技術の時代にはバイオテロの障壁が一段と下がっていくと警告した。現在の米国のバイオセキュリティ対策は、AIを悪用した生物学的脅威を防ぐには不十分だとし、関係機関への資金拡充や国際的なAI安全性の枠組みへの支援を求めている。
万一攻撃が起きれば、広島・長崎の被爆者を追跡してきた放射線影響研究所のような長期調査機関が新たに必要になるとの見方もある。
もちろん、遺伝子を狙う兵器が実際に開発されたという証拠が示されているわけではない。それでも、過去の戦場にはすでにその”原型”とも言える事例が刻まれている。SF映画の中だけの話だと笑い飛ばせる時間は、思ったほど長く残されていないのかもしれない。
参考:Popular Mechanics、ほか
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2024.10.02 20:00心霊次の生物兵器は「体」ではなく「遺伝子」を狙う!? AI時代の脅威に「備えは不十分」と米シンクタンクも警鐘のページです。遺伝子、生物兵器、AIなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
