人間の脳は一生で2回だけ”ギアを切り替える”!? 130万個の細胞が明かした「脳の3つの時代」

人間の脳は、一生のうちにたった2回だけ大きく「ギアを切り替える」らしい。1回目は24歳、2回目は60歳だ。
乳児から97歳までのドナーから提供された130万個以上の脳細胞を一つひとつ調べ上げた大規模研究が、脳の一生を3つの時代に区切ってみせた。しかも60歳を境に、脳の「体内時計」が刻む対象そのものが入れ替わるというのだ。
130万個の細胞が描き出した「脳の3つの時代」
研究を行ったのは、米ニューヨークのマウントサイナイ・アイカーン医科大学などのチームだ。人間の脳をかつてない精度で地図化する「PsychAD」プロジェクトの一環で、これまでに約1500人分の提供脳が細胞単位で分析されてきた。
今回の標的は、意思決定や記憶の形成を担う前頭前皮質である。チームは細胞内のRNAを読み取り、どの遺伝子がいつ働いているかを年齢ごとに追跡した。
浮かび上がったのは、次の3段階だ。0〜24歳は、新たな神経のつながりが次々と生まれ、細胞の構成が目まぐるしく変わる「急造期」。24〜60歳は、構造がほぼ変わらない「安定期」。そして60歳以降は、老化の影響が細胞レベルで表面化し、脳を修復・保護する細胞が活発になる時期だという。
24歳で訪れる「予想外の転換点」
特に研究者を驚かせたのは24歳という数字だ。幼少期から10代にかけて激しく続いていた細胞の変化が、24歳前後で急にブレーキを踏んだように落ち着くことが確認され、チームはこれを予想外の変曲点と位置づけている。
2025年には英ケンブリッジ大学のチームが、数千人分の脳スキャンを比較し、脳の配線は32歳ごろまでに安定するとの結果を発表していた。大筋では今回の研究と重なるが、今回はRNAを通じて個々の細胞の分子レベルで何が起きているかまで見えている点が大きく異なる。
60歳の脳は「何を刻むか」を変える
60歳を境に起きる変化はさらに興味深い。若年から中年の脳では、計画や記憶、判断に関わる神経細胞が、体内時計遺伝子に従って24時間周期のきれいなリズムで活動している。
ところが60歳を過ぎると、神経細胞のリズムはほとんど消えてしまう。代わりに、脳の免疫細胞や神経線維を絶縁する細胞が新たなリズムを獲得し、夜になると傷んだタンパク質の処理に精を出すようになるという。
論文の共著者であるキラン・ガードハー博士は、脳は時を刻むのをやめるのではなく、刻む対象を変えるのだという趣旨の見解を示している。この「健康な脳の老い方」の基準地図は、病気が正常な老化からどこで枝分かれするのかを探る手がかりになると期待されている。
PsychADからは今回、計9本の論文が同時に発表された。その中には、脳内にアルツハイマー病の目印となるタウタンパク質が多く蓄積していながら、認知機能を保っている人がいる理由に迫る研究も含まれる。神経細胞や保護細胞のストレスへの反応に違いがあり、それが抵抗力につながっている可能性が示唆されたという。ただし、いずれも治療法の確立を意味するものではなく、今後の検証が待たれる段階だ。
奇しくも60歳は、日本では暦がひと巡りして「生まれ直す」とされる還暦の年である。先人が経験的に感じ取っていた人生の節目を、脳細胞もまた静かに刻んでいたのだとすれば、なんとも味わい深い符合ではないだろうか。
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2024.10.02 20:00心霊人間の脳は一生で2回だけ”ギアを切り替える”!? 130万個の細胞が明かした「脳の3つの時代」のページです。老化、脳、細胞、体内時計などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

