心臓移植を受けた男性が“ドナーと同じ人生の結末”に!ドナーの妻と再婚、そして…
長い人生の中では感染症や伝染病にかかることもあるのだろうが、病気が伝染することはあっても、人格特性が転移することがあるのだろうか――。心臓移植手術を受けたある男性がドナーと同じ人生の結末を迎えてしまったことが報告されている。
■心臓移植でドナーの人格が転移したのか?
古着を着たり中古車を運転することがあるかもしれないが、そうした中古品を使っているとひょっとすると前のオーナーの影響を受けているのかもしれない!? 中古品ならまだしも、それが臓器であればなおのこと大きな影響を受けるのだろうか――。
1995年某日、テリー・コトル氏(33歳)は残念ながら自殺で命を落とした。
臓器のドナー登録をしていたこのコトル氏の心臓の移植手術を受けたのがソニー・グラハム氏である。
無事に手術は成功してグラハム氏は健康な生活を取り戻したのだか、その身にはそれまでにはなかった変化が訪れていた。
移植後、グラハム氏はどことなくドナーのコトル氏に似てきたといわれるようになり、コトル氏が好物だった食べ物が好きになり、その後、なんとコトル氏の妻と結婚したのである。これは移植したコトル氏の心臓の影響なのだろうか。
そして悲しいことに、グラハム氏は2008年に自ら命を絶ったのである。彼の妻は2度連続、夫の自殺で未亡人となったのだ。
たまたまの偶然だと言ってしまえばそれまでだが、このケースを説明できなくもないのが「エピジェネティクス(Epigenetics)」である。
エピジェネティクスとは塩基配列自体には変化がないまま遺伝子発現が変化する現象のことであり、人生を通じて誰かが獲得した遺伝的特性が、最終的には遺伝子によって受け継がれるという考え方だ。
これに基づけば、ドナーの遺伝的特性が臓器を通じて 移植を受けた人に受け継がれ、性格特性さえも変化させ得る 可能性が取り沙汰されてくる。
「LADbible」の記事によれば、心臓移植を受けたある男性がドナーのクラシック音楽への愛を受け継いだという話を語っているという。それまでクラシック音楽はほとんど聴かなかったのだが、移植手術後になぜか好んで聴くようになったのだ。
別の心臓移植のケースでは、ドナーが途中まで書いていた歌の歌詞を移植を受けた女性が完成させたという話や、刺殺された子供の心臓を移植された少女は、刺し殺される悪夢をよく見ることになったという話もある。
「BBC」はトラウマ体験をした人々の子孫を研究したところ、奇妙な結果が導き出されたことを報じている。捕虜になった退役軍人の子供とそうでない子供を比較した科学的研究では、前者のグループの方が死亡率が高いことがわかったのだ。トラウマが子供に遺伝して健康に悪影響を及ぼしているのだろうか。
こうしたことから、戦争や飢餓などのトラウマを経験すると、将来の子孫にエピジェネティックな影響を与える可能性があるという仮説が浮上してくるが、その正確なメカニズムはよくわかっていない。まだまだ謎が多いエピジェネティクスについての科学研究の進展を期待したい。
参考:「LADbible」ほか
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