消えた旅客機「スター・タイガー号」の謎! “バミューダ・トライアングル伝説”の始まりと、空軍高官が唱えた時限爆弾テロ説

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 真夜中の大西洋、氷のような海の上を飛ぶ1機の旅客機があった。1948年1月30日の未明、バミューダ島への着陸を目前にして、その機体は交信ひとつ乱すことなく、突然この世から消え失せた。

 乗っていたのは31人。その中には、第二次世界大戦の英雄として名を馳せた英空軍の名将まで含まれていた。

 イギリス政府の担当省庁が「調査史上、これほど不可解な難問が突きつけられたことはない」と嘆いたこの事件は、今なお解かれていない。

 そして半世紀以上を経た今、ある空軍高官が生前に唱えた「サボタージュ説」が改めて注目を集めている。

消えたスター・タイガー号——交信を保ったまま消えた31人

 失踪したのは、英国南米航空(BSAA)が運航するアヴロ・チューダー機「スター・タイガー」号だ。1948年1月17日にロンドンを発ち、ポルトガル、アゾレス諸島、バミューダを経てジャマイカへ向かう予定だった。乗客は25人で、軍や政府の要人も乗り合わせていた。

 出発時から小さな不調がつきまとっていた。機内の暖房が故障し、乗客は毛布で寒さをしのいだという。強風のためアゾレス諸島で一泊を余儀なくされ、出発は大幅に遅れた。

 バミューダへの最終行程で、スター・タイガー号は高度2000フィート(約600メートル)という異例の低空を飛んでいた。向かい風を避けるためだったとされる。すでに引き返し不能地点を越えていたが、燃料は十分残されており、前方を飛ぶ手荷物輸送機や地上管制とも力強い交信を続けていた。異常を示す兆候は一切なかった。

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「調査史上最も不可解な難問」——ずさんな管制と90分の空白

 異変の最初の兆候は、1月30日午前3時過ぎの唐突な沈黙だった。スター・タイガー号は着陸前に自機の位置を確認しようと、バミューダの管制に測位を要請している。

 ところが管制官はこの要請を無視した。後に「信号が弱すぎて正確に答えられなかった」と釈明したが、調査ではこの説明は虚偽であると結論づけられている。約10分後の再要請には応じ、午前3時15分ごろに機側がそれを受信確認した——これが最後の交信となった。

 さらに不可解なのは、機体が行方不明と報告されるまで、実に90分もの空白が生じたことだ。手荷物輸送機は午前4時11分にバミューダへ着陸していたが、その操縦士は緊急事態を通報しなかった。

 英政府の規定では、無線が30分途絶えた時点で管制官が緊急通報を出す義務があったが、これも守られなかった。管制官は理由を説明できず、調査は彼が多忙ではなかったことを突き止めている。

 政府の反応は異例だった。1930年以来となる司法審問が開かれ、ニュルンベルク裁判で主席検察官を務めたハートリー・ショークロス卿が調査を率いた。

 雷撃、自動操縦の誤作動、無線障害、プロペラの故障、構造欠陥——あらゆる可能性が検証されたが、決定的なものは何ひとつなかった。

 機体がバミューダを見過ごして洋上へ飛び去ったか、あるいはSOSを打つ間もない「完全な破局」が襲ったか、その二択しかないとショークロス卿は述べたと伝えられている。

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空軍副元帥が唱えた「時限爆弾」説と、一年後に繰り返された悲劇

 この難事件に、当時のBSAA最高幹部が独自の見解をぶつけていた。空軍副元帥ドナルド・ベネット——大戦中はRAF爆撃機軍団の精鋭「パスファインダー部隊」を率いた歴戦の飛行家である。

 1948年4月の審問で、ベネットは自社の乗員も機体も信頼に足るものだと強く主張し、正体不明の破壊工作員が時限爆弾を仕掛けた可能性があると証言した。

 ただし、この主張を裏付ける証拠は提示できなかった。審問は結局、「災害の性質・原因について信頼できる証拠が完全に欠如しており、可能性を提示する以上のことはできなかった。そのいずれもが蓋然性の域にすら達しない」との報告を残して幕を閉じた。

 スター・タイガー号の最期の地は、今も特定されていない。そして不気味なことに、悲劇はこれで終わらなかった。

 ちょうど一年後の1949年1月、同じBSAAのアヴロ・チューダー機「スター・エアリアル」号が、バミューダからジャマイカへ向かう途中で20人を乗せたまま消息を絶ったのだ。その運命もまた、未解決のままである。

 同じ海域で、同じ型の機体が、痕跡ひとつ残さず消える——この一連の失踪は、後に「バミューダ・トライアングル」伝説の中核として語り継がれることになった。

 だが、破壊工作の証拠は結局見つからなかった。ずさんな管制対応や度重なる不調を思えば、外部の「サボタージュ」ではなく、組織に潜んだ怠慢こそが真犯人だったのではないか。

 事故か、陰謀か、それとも人災か。真相は78年を経た今も、審問が残した『可能性』のまま宙づりになっている。

参考:Popular Mechanics、ほか

TOCANA編集部

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