「血が一滴も残っていない」牛の死体が次々と発見! メスのような切り口に争った跡もなし、現場の警官が行き着いた結論とは

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 見渡す限りの牧草地に、牛が横たわっている。体からは血がほとんど失われ、舌や乳房、生殖器だけが、メスを入れたような滑らかな断面を残して消えている。

 だが周囲に争った形跡はない。土は掘り返されておらず、蹄が暴れた跡も、捕食動物なら必ず残す噛み裂かれた肉片も見当たらない。

 米オレゴン州ハーニー郡で続くこの現象を追ったドキュメンタリー『Not One Drop of Blood』が今週、Amazonプライム・ビデオで配信された(日本では未配信・未公開)。作中で捜査に当たった警官が語った見解が、いま波紋を広げている。

「牛同士のケンカだろう」と思っていた牧場主が気づいた異変

 牧場主のクリント・ウィーバー氏は当初、死んでいた雄牛を見て、牛同士が争った末の事故死だろうと考えていたという。

 ところが、もう1頭が同じように死んでいるのが見つかる。よく見ると睾丸と生殖器が失われていた。さらに小川沿いを遡ると、残りの牛たちが同じ状態で発見されたという。生殖器がなくなり、舌が消えている個体もいた。異常事態だと判断した同氏は、法執行機関に通報している。

 事態が広く注目を集めたのは2021年2月だ。牧場の敷地内で1頭の変死体が見つかったのを皮切りに、郡内でさらに6頭が体の一部を失った状態で相次いで発見された。いずれも血液がほとんど残っていなかったとされる。

 だが捜査当局が調べても、捕食動物の関与も、家畜泥棒の痕跡も、有毒植物を食べた形跡も出てこなかった。地元の獣医たちは、傷口が動物の噛み跡ではなくメスによる切開に近いと指摘している。

画像は「Daily Mail」より

半世紀で1万件超、1970年代の報告書と「ほぼ一言一句同じ」

 いわゆる「キャトルミューティレーション」は、オレゴンだけの話ではない。全米では過去半世紀に1万件を超える報告があったと見積もられ、1960年代後半以降、アメリカ、カナダ、メキシコの各地で同種の事案が伝えられてきた。被害はウシにとどまらず、ヘラジカやシカでも類似した損傷が確認されたという。

 今回、製作陣がハーニー郡保安官事務所の記録を掘り起こしたところ、1970年代まで遡る報告書が見つかった。監督のジャクソン・デヴァルー氏によれば、その記述は50年以上あとの現在の報告書と、ほぼ一言一句と言っていいほど同じだったという。

 この現象は長らく、超常現象ファンのあいだでカルト的な支持を集めてきた。1980年にリンダ・モールトン・ハウ氏が発表した『Strange Harvest』は、地球外生命体の関与を示唆する説を広く知らしめた作品として知られる。

悪魔崇拝、毒矢、そして「宇宙人」

 ハーニー郡の住民の多くは、実際には人間の犯行を疑っている。毒を仕込んだ矢で牛を動けなくし、儀式目的あるいは非合法な用途のために血を抜いて臓器を取り去っている。そうした推測が語られてきたが、裏づける証拠は見つかっていない。

 ハーニー郡保安官事務所のマット・エリビー氏によれば、彼と保安官は悪魔崇拝やオカルト集団の関与も検討したという。だが状況があまりに不可解であるため、同氏は個人的な意見として、宇宙人の仕業としか説明のしようがないと述べた。

 宇宙人の存在を断言はできないが、この宇宙で知的生命が人類だけだとも思わない。よほど秘密裏に動く特殊工作部隊でもいない限り、他に説明がつかないというのが彼の見解だ。

 捜査が進まない背景には現実的な事情もある。ハーニー郡は面積で全米9番目に広く、牛の数は人口のおよそ14倍。牧場は孤立しており、通報を受けた警官が現場に到着するまで2時間かかることも珍しくない。着いても足跡も物証も死因の手がかりもなく、彼らはより緊急性の高い事件へ戻らざるを得ない。郡や機関をまたいだ合同捜査も、決定的な答えは出せていない。

 デヴァルー氏とラクラン・ヒントン氏の2人の監督は懐疑的な姿勢でこの題材に取り組んだが、デヴァルー氏は、あの土地に立つと、ありえないはずの説明さえ現実味を帯びてくると認めている。立ち止まって見渡しても、牛の目と漆黒の空しか見えない。そんな場所では何が起きてもおかしくないと感じてしまうのだという。

 同じ記述が50年間、書き換えられることなく報告書に並び続けている。この事実だけは、宇宙人説を信じるかどうかとは無関係に動かない。答えを持つ者が、まだ誰も現れていないのだ。

参考:Daily Mail、ほか

TOCANA編集部

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