父親に妻が14人、子供は160人……。現代アメリカに潜む「一夫多妻制カルト」の異常な日常、その内側を脱出者が暴露

カルトからの生還者が語る証言には、ある共通したパターンがある。閉ざされたコミュニティの中で子どもの頃から特定の価値観を刷り込まれ、成長するにつれてその異常さに気づき、命がけで脱出するという筋書きだ。
だが、SNSで自身の半生を語り始めたアリソン・イームズ氏の告白は、その中でも際立って異様なものだった。彼女はアメリカ・ユタ州を拠点とする一夫多妻制の宗教団体で生まれ育ったのだという。
11歳から始まった「妻になるための授業」
アリソン氏によれば、まだ11歳だった頃から、コミュニティ内では「結婚準備クラス」なるものへの参加が課せられていたという。
そこで教えられたのは、大家族の家計をどうやりくりするか、限られた食材で何十人分もの食事を用意するかといった、極めて実務的な内容だった。
同時に、髪型やメイクを常に整えておくこと、家の中を常に静かに保つこと、夫が仕事から帰宅した際には問題を持ちかけず、まず心を落ち着かせる時間を与えることなど、「妻としてあるべき振る舞い」も徹底的に叩き込まれたと明かしている。わずか11歳の少女に課せられた”教育”としては、あまりに現実離れした内容だ。

妻14人、子ども160人以上——一族の異様な規模
アリソン氏が生まれ育ったのは、ユタ州を拠点とする一夫多妻制の原理主義派閥「キングストン・グループ」だ。1930年代にチャールズ・エルデン・キングストン氏によって設立されたとされる団体で、モルモン教の主流派とは一線を画す独自の分派だという。
アリソン氏自身は、父親の97番目の子どもとして生まれた。父親には14人の妻がおり、きょうだいの総数は160人を超えるというから、その規模の大きさは想像を絶する。
団体の現在の指導者も、300人以上の子どもと27人の妻を持つと報じられている。一族全体が極めて閉鎖的な血縁ネットワークを形成し、外部との接触を最小限に抑えてきたことがうかがえる。
16歳、”血縁婚”を前にした決断
こうした環境で育ったアリソン氏だったが、16歳のときにコミュニティを離れる決断を下した。
彼女がこの決断に至った背景には、血縁関係の近い相手との結婚を強いられる可能性があったことが関係しているという。一族内で結婚相手を固定化させる慣習は、外部との接触を絶ち、財産や信仰を一族の内側にとどめておくための仕組みだったとみられている。
脱出後、アリソン氏はSNSを通じて自身の生い立ちを公表し、閉鎖的なコミュニティの内側で何が行われていたかを証言する側に回っている。
@allisonaeames This was something my dad specifically did for his daughters separately from what the group was already doing. #polygamy #cultsurvivor #saltlakecityutah #kingstonclan ♬ original sound – AllisonAEames
声を上げた「97番目の子」が問いかけるもの
彼女が明かした「結婚準備クラス」の記憶は、一見すると特殊な一族だけの逸話に映るかもしれない。だが、閉ざされたコミュニティの中で子どもたちがどんな価値観を刷り込まれて育つのかという問題は、決して遠い世界だけの話ではないだろう。
信仰や家族のあり方については様々な立場があるにせよ、11歳の少女に「結婚の準備」を課す環境が正常だったと言い切れる者は少ないはずだ。声を上げることを選んだアリソン氏の証言は、閉ざされた扉の向こう側を知る、数少ない窓の一つになっている。
参考:LADbible、ほか
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