148件の通報があった″ハム音”、だが調査員には聞こえない…… 南アフリカを襲う正体不明の「謎の重低音」と深まるミステリー

南アフリカ・ケープタウン北部の郊外で、まるで巨大な冷蔵庫か換気扇がどこかで唸り続けているかのような、正体不明の低い音が住民を悩ませている。
これは単なる噂話や思い込みではない。すでに公式な苦情は148件に達し、地元の議会が本腰を入れて発生源探しに乗り出す事態になっているのだ。
ところが、この音の正体を突き止めようと現場に向かった当の担当者自身が、ほとんど何も聞き取れなかったというから話はややこしい。
夜になると響き出す「唸り」、郊外5地区を直撃
この現象が報告され始めたのは、2026年9月7日の数週間前からだという。低周波のうなり音、ドローンのような羽音、遠くで機械が振動しているかのような音が、主に夜間になると聞こえてくるとの証言が相次いでいる。
影響を受けているのはテーブルビュー、パークランズ、ブラウバーグ、ミルナートン、エッジミードといった、ケープタウン北部に連なる住宅街だ。特定の一軒だけでなく複数の郊外にまたがって報告が上がっていることが、この現象を単なる近隣トラブルでは片付けられないものにしている。
苦情の件数はすでに148件。地元の住民の間でも「あの音」について語る声が増えており、行政としても無視できない規模に膨らんでいた。
議員本人には「ほとんど聞こえなかった」という珍事
事態を受けて動いたのが、113選挙区担当の議員スー・ファンデアリンデ氏だ。彼女は複数の産業施設を訪ね歩き、正確な発生場所・時間帯・音声記録を集めることで、発生源を三角測量的に絞り込もうと試みているという。
ただし興味深いのは、ファンデアリンデ氏自身が現場を回った際、問題の音をほとんど聞き取れなかったと報告している点だ。住民たちを悩ませるほどの音が、いざ調査に行くと本人には聞こえないというのだから、この時点ですでに一筋縄ではいかない案件であることがうかがえる。
調査の過程で、石油精製施設のアストロン・エナジー、ポンプ場、ポツダム下水処理施設、コーバーグ原子力発電所の関連設備、さらには建設・下水・排水工事といった「いかにも怪しそうな」候補は、いずれも発生源から除外されている。
有力候補はデータセンターか船か、それとも地形のいたずらか
これほど分かりやすい候補が軒並み除外された結果、今のところ有力視されているのはより地味な面々だ。データセンターの冷却システム、変電設備、工場の換気システムやコンプレッサー、発電機といった産業用機器が候補に挙がっている。
港に近いエリアだけに、沖合を航行する船舶のエンジン音という説も浮上している。低周波音は地形や風向き、大気の状態によって伝わり方が大きく変わるため、発生源から離れた場所でなぜか大きく聞こえる、といった現象が起きても不思議ではない。
さらに指摘されているのが、そもそも単一の発生源など存在せず、複数の異なる産業騒音がたまたま似たタイミングで重なり、住民には「一つの謎の音」として認識されている可能性だ。真相はミステリーの皮を被った、ただの騒音公害の集合体なのかもしれない。
騒音の正体が判明する日が来るのかどうかは、今のところ誰にも分からない。ただ、探しに出かけた本人にすら聞き取れない「音」ほど、始末に負えない厄介者もそうそうないだろう。
参考:Above the Norm News、ほか
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