200年前の壁画に「2億年前の絶滅動物」が描かれていた!? 南アフリカ・サン人の壁画とディキノドン化石のミステリー

「人類が初めて恐竜の化石を発見し、古代の巨大生物の姿を想像したのはいつか?」
多くの人は、19世紀のヨーロッパの科学者たち(メアリー・アニングなど)を思い浮かべるだろう。しかし、もし「西洋の科学者よりもずっと前に、原住民たちが自らの足と目で化石を見つけ、その姿を岩壁に描き残していた」としたらどうだろうか。
南アフリカのカルー盆地に残された200年前の奇妙な壁画が、そんな「先住民による古生物学」の可能性を示唆し、研究者たちの間で大きな話題となっている。
ウォルラス(セイウチ)か、それとも「絶滅した怪物」か
問題の壁画は、南アフリカの先住民サン人が1821年から1835年の間に描いたとされる「角のある蛇のパネル」と呼ばれるものだ。盾を持った人間の戦士たちの隣に、長くスレンダーな胴体と、下に向かって生えた「2本の巨大な牙」を持つ奇妙な獣が描かれている。

一見するとセイウチのようにも見えるが、ここは南アフリカだ。北極圏にしかいないセイウチがいるはずもない。「サン人の精霊の世界(想像上の生き物)を描いたのだろう」と片付けるのは簡単だが、サン人のアートはほぼ例外なく、現実の物理世界に根ざしたものをモチーフにしているという特徴がある。
南アフリカのウィットウォーターズランド大学、進化研究研究所のジュリアン・ブノワ博士は、2024年に学術誌『PLOS One』で一つの大胆な仮説を発表した。
「この牙を持つ怪物は、2億年前に絶滅した生物『ディキノドン(双牙歯類)』を描いたものではないか」と。

2億年前の哺乳類の祖先「ディキノドン」
ディキノドンとは、恐竜が誕生するよりも前、約2億年前に生息していた哺乳類の祖先(単弓類)だ。カバと巨大なトカゲを掛け合わせたようなずんぐりとした体型で、最大の特徴は上顎から下に向かって突き出した「2本の長い牙」である。
そして重要なのは、サン人が暮らしていたカルー盆地には、このディキノドンの頭骨などの化石が現在でも数多く転がっているという事実だ。
「多くの文化は、西洋の科学者が化石を研究するずっと前から、化石の世界を探求していました」とブノワ博士は語る。実際、考古学的な証拠からも、サン人が陸路を長距離移動して化石を拾い集め、運んでいたことがわかっている。彼らがディキノドンの頭骨を見つけ、その「2本の牙」から生前の姿を想像(復元)し、岩壁に描いた可能性は十分にあるのだ。
1905年の記録にも、サン人が「ゾウやカバよりも巨大で怪物のような獣」に祖先が遭遇したという神話を語り継いでいたことが記されている。彼らは足元の地面から見つかる巨大な骨を見て、かつてこの大地を支配していた「絶滅した怪物たち」の存在に気づいていたのである。
「雨を降らせる怪物」としての化石
なぜサン人は、わざわざ絶滅した動物を壁画に描いたのだろうか。ブノワ博士は、それが彼らの「雨乞いの儀式」と深く結びついていると推測する。
サン人の精神世界には、「牙を持つ雨の動物(レイン・アニマル)」というモチーフが頻繁に登場する。
「雨乞いの儀式中、サン人はトランス状態に入り、死者の領域へ行って『雨の動物』を捕まえ、生者の世界に雨を持ち帰ると信じていました」とブノワ博士は説明する。
「彼らは化石を見て、ディキノドンが『すでに死んで絶滅した動物』だと理解していたはずです。だからこそ、生者の世界と死者の世界を繋ぐ『より強力な霊力を持つ存在』として、この絶滅動物を雨乞いのシンボルに選んだのでしょう」
化石から古代の生物の姿を想像し、それを死者の世界の使者として信仰に取り込む。これは単なる野蛮な迷信などではなく、極めて高度な「先住民の古生物学(Indigenous palaeontology)」と言えるのではないか。
もちろん、「ただの変な顔のカバやアザラシを描いただけだろ」とツッコミを入れる懐疑派もいる。飛躍しすぎだという声があるのも事実だ。
しかし、天文学や植物学、生態学において、先住民の伝統的な知識が現代科学顔負けの正確さを持っていたケースは数多く証明されている。古生物学においても、彼らが誰よりも先に「化石の声」を聞き取っていたとしても、決して不思議ではないのだ。
参考:IFLScience、ほか
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2024.10.02 20:00心霊200年前の壁画に「2億年前の絶滅動物」が描かれていた!? 南アフリカ・サン人の壁画とディキノドン化石のミステリーのページです。化石、壁画、南アフリカなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
