存在しない町の土産物が出回り、真昼に夜が訪れた… 都市伝説の「真相」10選【前編】石膏の巨人、翼長8メートルの怪鳥、階段を降りる狼男

長く語り継がれた怪奇譚には、たいてい身も蓋もない「答え」がある。だが答えが出ても、話のほうは勝手に歩き続ける。
今回は「奇妙な歴史ミステリーの真相10選」から5話を紹介しよう。
ネットが生んだ「行ったことがある町」と「いなかった怪物」
1. 地図から消えた町ダブランド
米ウィスコンシン州に1990年代まで存在し、忽然と消えた町ダブランド——そんな話がネットで根強く語られている。問題は、その町が地図に載ったことが一度もない点だ。記録もなく、地元民も誰ひとり覚えていない。
伝説を育てたのはネット掲示板だ。マグカップやTシャツなど「ダブランドの土産物」の写真とともに「訪れた記憶がぼんやりある」という書き込みが集まり、冷戦期に米海軍が構想した超低周波通信計画「プロジェクト・サングイン」と結び付ける者まで現れた。だが計画が実在するだけで、町との関連は示されていない。
記憶のほうが、町より先にあったのだ。
2. ヴァーモントの怪物「ジ・オーフル」
1925年、リッチフォードで橋を渡っていた作業員が、建物の屋根にうずくまる怪物を目撃した——とされる。翼開長は約8メートル、蛇のような尾と巨大な鉤爪、姿はグリフィンに似ていたという。
だが当時の地元紙にそんな記録はない。出どころは2006年にカウンティ・クーリエ紙が載せたH・P・アルバレリ・ジュニアの読み物で、実在の地名に創作を溶かした記事がネットへ流出し、フィクションの枠だけが剥がれ落ちた。ラヴクラフトが調査に来たという尾ひれもついたが、彼の訪問は1928年だ。

埋まっていた「生首」と、階段を降りてきた半人半獣
3. ヘクサムの狼男
1904年12月、地元紙ヘクサム・クーラントが、英ノーサンバーランドの荒野で狼が羊を襲っていると報じた。私設動物園から逃げた個体と噂されたが、数週間後に列車にはねられて死んだと伝えられる。
話が転がるのは1971年だ。ヘクサム近郊の兄弟が庭から彫刻された2つの石の頭部を掘り出すと、ほどなく隣家の親子が家の中で「半人半獣」を目撃したと訴えた。それは後ろ足で立ち、悠然と階段を降りていったという。
ケルト学者アン・ロス博士が頭部を自宅へ持ち帰ると、数日後、寝室で上半身が狼、下半身が人間の生き物を見たと語り、頭部を手放した。70年近く前に死んだ狼は、いつしか狼男になっていた。
だが「生首」は古代の遺物ではない。ある男性が1956年に娘のためコンクリートと砂で作ったと名乗り出て、検査でも彫刻ではなく型で成形されたと示された。目撃談のほうは、暗示と土地に残る狼の記憶が、影に牙を生やさせたのかもしれない。

石膏の巨人と、200年越しに解けた「暗黒の日」
4. カーディフの巨人
1869年10月、ニューヨーク州カーディフの農場で井戸を掘っていた作業員が、全長約3メートルの「石化した巨人」を掘り当てた。見物人が金を払って押し寄せ、古代の彫像か化石化した人類か、聖書の巨人かと論争になる。
仕掛け人は無神論者のタバコ商ジョージ・ハル。聖書の巨人をめぐり牧師と口論した彼は、人がいかに簡単に途方もない話を信じるかを実演しようとした。石膏を人型に彫らせ、古色をつけ、いとこの農場に1年近く埋めた。
茶番はまだ終わらない。興行師P・T・バーナムは買収を断られるや複製を作り「こちらが本物」と展示。裁判所も原物が贋作である以上差し止める理由はないと退けた。ハルの主張だけは証明された——話が刺激的なら、人は喜んで金を払うのだ。

5. ニューイングランドの暗黒の日
1780年5月19日、ニューイングランドとカナダ東部が異常な闇に包まれた。正午なのに室内では蝋燭が要り、鳥はねぐらへ戻り、家畜は納屋へ引き返す。独立戦争の最中、最後の審判が来たと信じた者も多かった。
日食説や噴火説も出たが、現代の証拠が指すのは森林火災だ。オンタリオ州アルゴンキン高地の樹木に残る火傷痕から、1780年が大火の年だったと判明している。北から流れた煙が霧や雲と重なって日光を遮ったとみられ、すすや焦げ臭さの記録も一致する。
真相が出ても、伝説は死なない。ダブランドの土産物は今もネットを漂い、ヴァーモントの空には8メートルの影が飛んでいる。答えが出た途端に消える話なら、そもそも100年も語り継がれはしないのかもしれない。
後編ではモスクワの廃病院、コットンリーの妖精事件など5位〜1位を紹介する。
参考:Listverse、ほか
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