恐竜を絶滅させた10キロ級の小惑星には人類は無力? 米上空の隕石爆発が突きつけた、いつ来るかわからない「その日」への対策

夜空は、平和な星々の海ではない。そこは無数の岩塊が飛び交う巨大な射撃場であり、地球はその弾道のど真ん中に置かれている。先月末、アメリカ国民はその現実を白昼に突きつけられた。マサチューセッツ州一帯の上空が閃光に裂かれ、二度の衝撃音が窓を揺らし、911番への通報が殺到。地震だ雷だと人々を混乱させた正体は、文字どおり「地球上のもの」ではなかった。
象一頭分の岩が、TNT300トン級の爆発を起こした
大気圏に突入したのは、幅およそ1.5メートル、重さは象一頭ほどの流星物質だったとされる。時速約6万8000キロで飛び込み、上空数十キロで砕け散った空中爆発のエネルギーは、TNT火薬にして230〜300トンに相当したという。
たった象一頭分の岩でこれだ。だが宇宙にはもっと厄介な「弾」がいくらでもある。同じ5月、新発見の小惑星「2026 JH2」(推定幅15〜35メートル)が、わずか9万キロ先を通過した。衝突していれば大都市を消し去るに十分だったという。故スティーヴン・ホーキング博士は、宇宙からの衝突こそパンデミックや地上の災害を上回る人類最大級の脅威だと考えていた。問題は「衝突するか」ではなく「いつ衝突するか」なのだ。
現実的に「防げる」のは、おおむね100〜800メートルの中型天体だ。一発で数千万人規模の死者を出しうる。400メートル級の衝突は平均10万年に一度で、ヨーロッパを直撃すればフランスのような国が地図から消えるとされる。なお幅10キロ級——恐竜を絶滅させた怪物には人類はほぼ無力で、トラックにピンポン玉を投げるようなものだという。
「原爆で爆破」は最悪手——体当たり、塗装、そして重力で引っ張る
理論上、中型天体は防げる。1998年に映画『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』が衝突の恐怖を大衆に突きつけて以降、民間の「B612財団」やNASAの惑星防衛調整室、欧州宇宙機関(ESA)の研究プログラムNEOShieldなどが次々と立ち上がった。
具体策は良いものから「非常に悪いもの」まで様々だ。最悪手は、『アルマゲドン』のように核爆弾で粉砕する方法。生じた破片が同じ方向・速度で飛び続けるため、地球は一発の代わりに無数の小さな衝突を浴びることになるという。より実用的なのは、天体を「押して」軌道をずらす手だ。何年も前に予見できれば、ごくわずかな一押しで足りる。2029年に地球を襲うかと騒がれた小惑星アポフィスも、秒速数マイクロメートルの変化で十分とされた(実際は安全に通過する見込みだ)。
この「押す」発想はすでに実証済みだ。NASAは2022年9月、探査機DARTを小惑星ディモルフォスに意図的に衝突させ、軌道を変えることに成功している。ほかにも「天体用の破城槌」HAMMER構想や、巨大レンズで太陽光を集め表面を蒸発させ噴射代わりにする案など、奇策は尽きない。最も穏やかなのが、元宇宙飛行士エド・ルー氏らの「重力トラクター」だ。重い探査機を天体の脇で数十年並走させ、重力でじわじわ安全な軌道へ引っ張るのだという。
最大の障壁は技術ではなく「政治」だった
だが、これら防衛策の最大の難問は技術ではなく、政治である。もし人口100万超のアメリカの都市を消す軌道で小型天体が迫るとして、その「救出ミッション」の費用をロシアや中国は分担するだろうか。逆にアメリカ人は中国の都市を守るために金を出すだろうか。利害は容易に衝突する。
さらに天文学者カール・セーガンは別の危険を予見していた。小惑星を地球すれすれに逸らせる技術は、裏を返せば敵国に「落とす」技術にもなりうる。惑星防衛という理想が、宇宙版の冷戦に転じかねないのだ。国連でも議題に上るが、合意への道は遠い。
それでも、何かをしなければならないのは確かだ。射線上に立つ以上、危険を見極め、いざという時に動ける備えを持つしかない。新型コロナや気候危機がそうだったように、この脅威の切迫感は現実に必要が生じて初めて骨身に染みるのだ。

参考:ZME Science、ほか
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2024.10.02 20:00心霊恐竜を絶滅させた10キロ級の小惑星には人類は無力? 米上空の隕石爆発が突きつけた、いつ来るかわからない「その日」への対策のページです。隕石、小惑星、衝突などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
