佐川兄弟の幼いときの映像との強烈なコントラスト Véréna Paravel & Lucien Castaing-Taylor《Commnsal》
パリ人肉事件の佐川は現在寝たきりだ Véréna Paravel & Lucien Castaing-Taylor《Commnsal》
■佐川一政のドキュメンタリー
もうひとつ注目すべき作品としては、元豆腐工場「トーフファブリック」で上映されていたヴェレナ・パラヴェルとルーシャン・キャステーヌ=テイラーによる《共生》と題された佐川一政のドキュメンタリーがある。この事件は、1981年パリへ留学していた佐川一政が友人のオランダ人女性を殺害死姦し、その肉を食べたというもの。佐川は現在、脳梗塞で寝たきりとなっているが、実弟がその世話をしている。現在のカラー映像と子供時代の無邪気な二人のモノクロ映像との対比が言い知れぬ良心の動揺を呼び起こすのである。こんな特異な作品を観れるのも海外の芸術祭ならでは、そこで許容されている表現の幅の広さには衝撃を受けずにはおれない。