■「縄文時代にタトゥーがあったのか?」ドイツでディスカッション
フラクフルトHfGオッフェンバッハ校での展示フライヤー
Oliver Becker, Werner Lorke, Ryoichi Keroppy Maeda, Taku Oshima “JOMON TRIBE & SOUTH SUDAN”@HfG Offenbach
さて、今回のドイツ滞在は、私にとってはドクメンタのみならず、フランクフルトの美術大学HfGオッフェンバッハ校での『縄文族 JOMON TRIBE』展、さらにはカッセルでのサテライト展示とオキュパイ・スクール『一万年前/一万年後』というディスカッションイベント開催という濃厚なものとなった。
『縄文族 JOMON TRIBE』とは、私、ケロッピーがタトゥーアーティストの大島托とコラボレーションして、「縄文時代にタトゥーがあったのか?」という問いに実践的に回答を試みようというアートプロジェクトである。そして、今回のHfGオッフェンバッハ校での展示では、同校のヴェルナー・ロルケ教授のプロデュースにより、ドイツ人ジャーナリストのオリバー・ベッカーによる南スーダンの顔面スカリフィケーション(瘢痕)の写真作品とのカップリング展示となった。
オリバーは、南スーダンにすでに数回訪れており、この地域で顕著になっている顔面の部族的なスカリフィケーションの復活に注目して、綿密な取材を行っている。長引く内戦により無政府状態となっている南スーダンでは、狭い地域に複数の部族集団がせめぎ合っており、大量殺戮事件が日常と化している。そんな状況下でそれぞれの部族集団が固有の顔面スカーを施すことで仲間意識を高めており、同時に部族抗争も激しさを増している。オリバーもあまりの治安の悪さゆえ、虐殺事件が起こった村にヘリコプターで直行し、現地調査を行なったのち、すぐに逃げ帰るような状況だったという。顔面に施された生傷の生々しさ以上に、彼らの目つきや表情に底知れぬ険しさを感じる。
一方、『縄文族』は、縄文タトゥーの復興という理由から新しい文様タトゥーのスタイルを構築しようというもので、日本から縄文タトゥーで全身を飾る“縄文族”2人がフランクフルトに駆けつけ、展示会は大いに盛り上がった。