悲しい時に脳内で繰り広げられる“おしゃべり”の正体判明! 落ち込みの数値化実現へ、うつ治療に進展か!?
■扁桃体と海馬がベータ波で“同期”している
「多くの患者にとって、うつ状態になっている時には、脳内で起きている測定可能で具体的な原因を知ることが非常に重要です。一部の患者にとって、それは重要な事実を提供し、着せられた汚名を拭い去り、適切な治療を求める権限を与えるものになります」(ヴィカース・ソハール博士)
これまでの研究でも扁桃体と海馬がうつや不安障害に関係があると考えられてきたが、具体的にどのように影響を及ぼしているのかはわからなかった。しかし今回の研究で、うつや不安を感じている時には扁桃体と海馬がベータ波で“同期”していることがわかったのである。
今回の発見は精神医療の治療法の開発に有効に活用できるものであるとソハール博士は主張している。例えば扁桃体と海馬の活動を制御したり、結びつきを弱めたりすることができればうつや不安を緩和することができるようになるかもしれない。
扁桃体と海馬が“同期”することでどうしてネガティブな感情が引き起こされるのか、そのメカニズムについてはまだよくわかっていないが、研究チームは気分が落ち込んだ時には、ネガティブな感情が海馬から過去の悪い記憶を引き出すきっかけを作っていて、この過去の苦い思い出がさらに気分を落ち込ませて堂々巡りを繰り返しているのではないかと説明している。
気分が落ち込むと扁桃体と海馬が“同期”するのか、それとも“同期”するからうつ気分になるのか、どちらが先なのかについてもよくわかっていないが、脳活動のシグナルの増加が感情を増幅している可能性が高いということだ。つまり脳活動が先にありきで気分が落ち込んでいるということになる。
悲しくネガティブな気分が、もしも脳活動によるものであったにしても、心臓ペースメーカーのように、患者が現在どれくらい悲しい気分でいるのかが機器で計測できることには大きな意味があると研究チームは主張している。研究の次の段階は扁桃体と海馬のベータ波がどのようにして発生するのか、またほかの脳の領域にどのような影響を及ぼすのかを解明することであるという。ともあれ、うつや不安障害の治療に新たな光明が差してきていることは朗報である。
(文=仲田しんじ)
参考:「Live Science」、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊悲しい時に脳内で繰り広げられる“おしゃべり”の正体判明! 落ち込みの数値化実現へ、うつ治療に進展か!?のページです。脳、海馬、仲田しんじ、うつ、てんかん、不安障害、ベータ波、扁桃体などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで