「コロナ時代のR指定映画…」いとうせいこうが、最狂昇天トランス映画『脳天パラダイス』を語る!

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<明日、11/21日に池袋・渋谷・横浜で舞台挨拶決定!! >

 いとうせいこうさん(59)が、『脳天パラダイス』で映画初主演を果たしたと聞き、さっそくインタビューに行ってきた。むむむ、なんという映画だ! 監督は80年代から問題作を撮り続ける山本政志監督。

 長くカルチャーシーンを掻きまわしてきた2人が、コロナ禍で世の中がキュウキュウとする今、映画の公開を果たすことでなにを言おうというのか――。せいこうさんに会ってきました。



――初主演映画の公開おめでとうございます。主役を演じたせいこうさんから、改めてストーリーのご説明をお願いします。

いとう 経営していた会社が潰れて破産した男が主人公なんだけど、それが俺ね。で、その主人公が豪邸を手放すことになった。高台で、庭があって大理石の風呂があるような白亜の豪邸でさ。思春期の難しい年ごろの子供と暮らしていたから、そりゃ、子供の気持ちは複雑だよね。

で、いよいよ引っ越し屋が来るって時になって、高校生の娘がTwitterに「今日、パーティをしましょう。誰でも来てください」と投稿するわけ。それで突然、父親の知らないうちに自由参加のパーティが開かれてしまうーー。そんな話。


――奇妙なストーリーです。

いとう ね、映画ならではのファンタジーだよね。でも、Twitterで自由参加のパーティを告知するっていうリアルさもあるから面白い。その告知を見てやってくるのは音信不通だったお母さん=南果歩さんだったり、謎の老僧だったり……次から次へと変な客たちが勝手にワンワンやってきて。売り飛ばされる家の最後のひとときを、それぞれが自分の場所として狂喜乱舞の大パーティーを繰り広げる。


――最初に脚本を見たときは、どう思いましたか。

いとう 僕らの世代からしたら、山本政志監督って、難しくておっかない監督として当然認識しているわけなんですよ。しかも山本監督が手掛けた作品『ロビンソンの庭』(1987) 『てなもんやコネクション』(1990)には、すごいミュージシャンがいっぱい出ている。だから、僕に主演の話が来たとき“光栄なオファーだなって”思ったのが最初です。さらに脚本を読んだら、この炸裂した内容でしょう。「これならいい!」と、お受けしました。


――なるほど。演じていて大変だったことは?

いとう 俺は、これまでコントで芝居はやって来たけど、映画でこんなにちゃんと人物を演じたことはないんだよ。コントは、その瞬間に役を演じるわけだけど、映画はそうじゃない。何日もかけて撮影している間、ずっと同じ人であり続けなくてはならない。そこに難しさと面白さがあった。


――撮影はいかがでしたか。山本政志監督が声を荒げるようなことはありましたか?

いとう それが、一度もなかったの。山本監督と相性がいいのかな。山本監督って、指摘がとても理知的で“伝わるロジック”で言ってくれる。だから「なるほど!」と掴みやすくて、とにかく安心感がある撮影現場でしたね。今の若い監督の様子和知らないけれど山本監督はーー「もうちょっとテンポアップかな」「少し暗い感じかも」「もうちょっと抑えてみるとか」って、エンジニアが色や音を調整するように芝居を調整=演出してくれる。へえ、こうやってやるんだと納得してました。


――ところで、R16指定ということですが?

いとう どこがなんだろうね。アダルトなシーンがあるわけじゃない。スプラッターはあるけど残虐ではない…。もしかしたら、理屈抜きにブッ飛んだ映画を撮ろう! ・・・という想いを映像化した “最狂昇天トランス映画 脳天パラダイス”というコンセプト自体が、今の世相の“R指定”なのかもしれないよね。


――ふむふむ。

いとう 最近の日本映画によくあるわかりやすい感動や、ジーンとくる感じの要素がこの映画にはないじゃない。それどころか否定している。「脳天パラダイス」にあるのは、常識はずれだけど異能の人、破産なのに夏祭りみたいな境界ぎりぎりのキワドいハイテンションなの。しかも、白亜の庭で大勢で踊り狂ったり…。今のコロナの世の中では、R指定にされてしまうのもわかる。


――この映画は、クラウドファンディングを通して多くの人の賛同を得て作成されています。

いとう クラファンで集金するような映画の作り方は今後ますます増えていくと思う。自分が見たい映画・欲しい映画・必要だと思う映画と、現実に公開されている映画が必ずしも合ってない部分がある――そういう気持ちが、資金面から映画の作り方を変えている部分はあるんじゃないかな。


――脳天パラダイスは、たしかに脳天がスッキリする映画でした。ありがとうございました。最後になります。いとうさんはこのコロナ禍は、どう過ごしていますか。

いとう 今年は2本続けて小説を書いて、それをまとめた1冊が発売されたばかりですよ。『夢七日 夜を昼の國』(文藝春秋刊)そしてさらに、“いとうせいこうis the poet(イズザポエット)”ていうダブ・ポエトリーのバンドをやっててライブもしています。

 これは、ダブと同時にポエトリーリーディングをする音楽で、来年初頭にはアルバムも出します。コロナだったけど、自分は割と籠って、好きな活動ができていてとても幸せな時期だったかな。

 あと俺ね、もうすぐ60歳なんだよ、還暦。笑っちゃうよね。でもね、なんか気楽でさ。今までで一番何でも自由にできるし、心も体も軽くて…だから? 映画をぜひ観てください!

(聞き手:石丸元章 追伸)ほんとに個人的なことでアレなんだけど。せいこうさんとは35年ぶりの会話でした。年齢を経ての感慨は、最後のいとうさんの言葉と全く一緒です。いつか読者の人にも伝わるかもしれません。ユーチューブも見てください。わっしょい!

●プロフィール
いとうせいこう

1961年、東京生まれ。84年に早稲田大学卒業後、講談社に入社。同社発行の「ホットドッグ・プレス」誌で企画した「業界くん物語」が話題となり、85年に同名の音楽アルバムをプロデュース。同年には宮沢章夫、シティーボーイズ、中村有志、竹中直人らと演劇ユニット「ラジカル・ガジベリビンバ・システム」を結成。86年に講談社退社後は、TINNIE PUNX(藤原ヒロシ、高木完)と共に『建設的』(86年)をリリースして日本語ラップの礎を築いた一方、『ノーライフキング』(88年)や『想像ラジオ』(2013年)をはじめとする小説が高く評価されたり、さらにはタレントとしてテレビ番組にも出演したりと、マルチな活動を展開してきた。

映画『脳天パラダイス』11月20日全国ロードショー



<あらすじ>東京郊外、高台にある一軒の大豪邸。あとは引越し業者のトラックに荷物を積み込むだけとなった部屋を、やさぐれた表情で見わたす笹谷修次。家⻑でありながら、この家を手放す原因を作った張本人である。引きこもり気味の息子・ゆうたは淡々と現実を受け止めている。一方、生意気盛りの娘・あかねは不甲斐ない父親にイラつきながら、ヤケクソ気分で Twitter に「今日、パーティをしましょう。誰でも来てください。」と地図付きツイート。そのままフテ寝してしまう。投稿がリツイートされまくり、瞬く間に拡散している状況を示す通知が鳴り響いていることも知らずに……。数年前、恋人を作って家を出たはずの自由奔放な元妻・昭子がやってきた。パーティーのツイッターをみてやってきたのだ。ゆうたは、久しぶりの母との再会を喜ぶが、修次やあかねにとっては招かれざる客でしかない。借金まみれになり、一家離散目前の笹谷家にツイッターをみて、次々にパーティー客がやってくる。インド人のゲイカップル、やる気のない運送業者、手癖の悪いあかねの友人、台湾から来た観光客の親子、酔っ払いの OL、恋人を探しているイラン人、謎のホームレス老人…。そんな中、来客を頑なに追い返そうと一人奮闘する修次だったが、珍客はどんどん増え続ける。しだいに豪邸は、ドンチャン騒ぎを超えた、狂喜乱舞の縁日の境内状態になっていく。笹谷一家の引越しは!? いやいや、もうそれどころじゃない!客たちによって一家の運命はめくるめく奇々怪々と狂喜乱舞へと導かれていく……!
これは現実か、それとも幻覚か、果たして彼らの行く末は!? もう誰も逃げられない。
『脳天パラダイス』への扉が今、開いてしまったのだ!

<出演>

南果歩 いとうせいこう 田本清嵐 小川未祐 玄理 村上淳 古田新太 柄本明
<監督>
山本政志
企画:シネマインパクト、C・C・P 協賛:高見庭園
配給:TOCANA
製作協力:UNIVA Guangzhou Trading 製作:パンクチュアルカルチャー 大江戸美術
(C)2020 Continental Circus Pictures

※脳天パラダイス公式HPはこちら

編集部

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