2600年前に原子を発見したインド人「アチャリヤ・カナーダ」とは!? 宇宙の真実を見抜いた“粒の先生”は何者か?

 西洋では、原子論は紀元前5世紀に古代ギリシャ人のレウキッポスとデモクリトスらが言及していたが、それらの哲学は「近代科学」とは見なされていない。ちょうど同じ時期にあたるカナーダの理論が彼らに影響を与えたか、またはその逆であるか、あるいは両方が独立して進化したかどうかは論争中の問題である。

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レウキッポス(左)、とデモクリトス(右) 「Ancient Origins」の記事より

 近代科学においてジョン・ドルトンは原子理論の創始者であり、彼の理論は経験的証拠に基づく「原子の最初の科学理論」である。彼が理論を作成する際に使用した概念は、実際には他の科学者の研究に基づいていたが、彼はそれらを組み合わせて、測定とテストが可能なものへと昇華させた。彼の結論は、分析と実験のプロセスを通じて実証されたのである。

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ジョン・ドルトン 「Ancient Origins」の記事より

 一方のカナーダは「すべての創造物は原子からできており、原子は互いに結合して分子を形成する」と述べているが、その原子理論は抽象的で哲学的で、実験ではなく経験や論理に基づいた主張であった。しかしながら、彼の理論は「世界の物理的構造を見事な想像力で説明しており、大部分は現代物理学の発見と一致した」と、オーストラリアのインド言語学者であるアーサー・ルウェリン・バシャムは主張している。カナーダの知見は、現代物理学に通じるものであるというのだ。

 2600年前に原子の実態と構造を理解していたとされるアチャリヤ・カナーダの理論は世界中に影響を与えたとされ、日本では江戸時代に盛んに研究されている。近代西洋一辺倒の科学史観に別の視線とアイデアを呼び込む貴重な理論であることは間違いない。

参考:「Ancient Origins」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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