チベット僧の脳は瞑想のおかげで実年齢より「8歳若い」と判明! マインドフルネス&アンチエイジング効果が抜群(最新研究)
日々瞑想を行う仏教僧の身体にはどんな変化が訪れているのだろうか。最新の研究ではチベット仏教僧の脳は一般人よりも8歳若いことが報告されていて興味深い。
■チベット僧の脳は8歳若い
ストレスの多い現代社会のサバイバルスキルとして瞑想やいわゆる“マインドフルネス”の効能に注目が集まっているが、そのメリットはストレスの除去だけではないようだ。瞑想習慣によって脳の加齢を劇的に遅らせることができるというのである。
米・ウィスコンシン大学マディソン校の研究機関「Center for Healthy Minds」のリチャード・デイビッドソン教授が率いる研究チームが2020年2月に神経科学誌「Neurocase」で発表した研究では、チベット仏教僧の脳を14年間にわたって追跡調査した結果を報告している。
研究チームは、チベット仏教の著名な指導者であり、仏教瞑想の国際ネットワークである「Tergar Meditation Community」のディレクターでもあるヨンゲイ・ミンゲール・リンポチェ氏の脳を、彼が27歳の頃からMRIで定期的にスキャンして一般人の脳との違いを検証している。
9歳の頃から瞑想を始めているというリンポチェ氏だが、研究チームは彼が27歳の時から41歳の間の14年間に4回、脳をMRIでスキャンして経年変化を追跡した。
リンポチェ氏の脳をモニターするとともに、研究チームはウィスコンシン州マディソン在住のリンポチェ氏と同い年の105人の脳をコントロールグループとして同じスパンでモニターしている。
こうして収集した脳をスキャンしたデータを、研究チームは「BrainAGE」と呼ばれる機械学習ツールを使って処理した。このツールは脳の灰白質(gray matter)を調べることで脳の年齢を推定するものである。デイビッドソン教授によれば、灰白質は脳の年齢を表す良い指標となるといい、加齢によって脳の萎縮が起こるとまず最初に灰白質が減少するという。
分析の結果、リンポチェ氏の脳は若々しさを保っており、実年齢41歳の時点で33歳と同等の脳を保っていたという。つまり脳年齢が8歳若いのである。
「人生の6万時間以上を瞑想に費やしたこのチベット僧の脳は、コントロールグループの脳よりもゆっくりと老化するという大きな発見が得られました」とデイビッドソン教授は語る。
BrainAGEの分析ではまた、瞑想の実践が脳の特定の部位に影響していることはなく、灰白質全体に均質に影響を及ぼしていたということだ。昨今注目を集めている瞑想、マインドフルネスに脳のアンチエイジング効果もあるとすればそのメリットはもはや計り知れないものになる。
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