毒蜘蛛に噛まれて死亡した歌手! 顔が真っ黒になる陰惨な画像がSNSで話題に=ブラジル

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 毒蜘蛛に顔を噛まれたブラジル人男性歌手が死亡した。この事件は英紙『the Daily Star』『the Daily Mail』などでも報じられ、ブラジル国内だけでなく世界中で話題となった。

毒蜘蛛に噛まれて死亡したブラジル人歌手

 2023年10月31日、ブラジル人歌手のダーリン・モライスさん(当時28)は、トカンティンス州ミラノルテにある自宅で蜘蛛に噛まれた。後にアレルギー反応で体調が悪化し、ミラノルテの病院を訪れて治療を受けた。11月3日に退院したが、同月5日に再び入院し、翌日6日に亡くなった。

 彼の妻のジュリェニー・リスボアさんは「彼は体が衰弱していくのを感じ、同じ日(10月31日)から顔が黒ずみ始めました。彼は病院に行き、今週日曜日にパルマス総合病院に入院しました」と語った。

 モライスさんの18歳の継娘も蜘蛛に噛まれたが、現在は入院していて、容体は安定しているという。

DVDリリース目前で起こった悲劇

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 15歳で音楽活動を始めたモライスさんは、弟らとともに3人組バンドを結成し、ブラジル北東部で人気のある「フォホー」を演奏してきた。フォホーは英語の “Music For All” (全ての人のための音楽)が訛りとされ、アコーディオン、トライアングル、ザブンバの3種類の楽器で演奏されるのが一般的だ。

 モライスさんのバンドはトカンティンス州で定期的に演奏するだけでなく、近隣のゴイアス州、マラニョン州、パラー州でも予約が入るほどの人気ぶりだった。2024年1月にはコンサートを録音し、DVDとしてリリースする予定だったという。

 モライスさんのいとこのウェスレヤ・シルバさんは「彼はいつも友達に囲まれていて、そのことがいつも彼を祝福する理由でした。いつもとても幸せで、周りのみんなと笑顔でいました。寛大な心の持ち主で、いつも周りの人々を助けていました」と語った。

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歌手の命を奪った毒蜘蛛の正体は?

 モライスさんは生前、頬の噛み跡を撮影した画像をSNSで公開した。蜘蛛に噛まれた皮膚は真っ黒になり、痣のようになっていた。このような症状を引き起こす毒蜘蛛の種類は明らかとなっていない。しかし、ブラジルには「世界で最も危険な蜘蛛」のブラジリアン・ワンダリング・スパイダー(クロドクシボグモ)が生息していることから、これに噛まれた可能性もある。

 ブラジリアン・ワンダリング・スパイダーはシボグモ科に属する蜘蛛で、ブラジルやアルゼンチンなどの中南米に分布する。バナナの葉でもよく見られるため「バナナ・スパイダー」としても知られる。足を広げると13~15センチの大きさになる。夜行性で獲物を待ち伏せして襲う性質を持つ。

 ブラジリアン・ワンダリング・スパイダーが有する毒は、ヒトにとっての致死量は0.1ミリグラムだ。しかも、この毒は異常な痛みや血圧の上昇、呼吸数の上昇、目のかすみ、痙攣などに加えて、勃起が何時間も続く持続勃起症も引き起こす。

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 ブラジルのミナス・ジェライス連邦大学の研究者らは、ブラジリアン・ワンダリング・スパイダーの毒に含まれる化合物「BZ371A」を合成することに成功した。ラットを使った試験では、ゲルに混ぜて股間に塗り広げると勃起が引き起こされることが確認された。BZ371Aなどによって体内の一酸化窒素が放出され、生殖器への血流が増加するために起こされる反応だ。バイアグラにも同様の作用がある。しかも、BZ371Aは高齢のラットや高血圧や糖尿病などの疾患を持つラットにも効果があり、同じ理由でバイアグラを服用できないヒトにも応用できる可能性があることが示唆された。

 ヒトの男性と女性を対象としたパイロット試験は実施済みで、BZ371Aを含むゲルをヒトが安全に使用できることが確認された。一方で、これがバイアグラの代替品になり得るかどうかを判断するには、さらに徹底した包括的な試験が必要だ。今後、勃起不全の男性を対象にした治療法の臨床試験が実施される予定だという。

 ヒトを死に至らしめる猛毒でも、その中には有益な物質や成分が含まれていることもある。こうした可能性を追求するためにも、モライスさんを死に至らしめた毒蜘蛛の正体を明らかにする必要があるだろう。これが人気歌手への追悼にもなるはずだ。

動画は、「YouTube」より

参考:「the Daily Star」、「the Daily Mail」、「ScienceAlert」、ほか

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文=標葉実則

タヒねばいいのに → しねはみのり → 標葉実則。エログロオカルトを得意とするライター。世界中の猟奇事件、奇病、フェチ、カルト宗教、オカルト、都市伝説、陰謀論などのアングラ情報を蒐集して文章化します。
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