歴史の常識を覆す「シュメール王名表」“天から授けられた王権”と数万年に及ぶ統治の謎
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世界各地には現代よりも遥か昔に存在していた文明の痕跡が残されているが、彼らはどのような人々だったのか? その起源や目的は何だったのか? これらの疑問は、考古学者たちを長年にわたって悩ませてきた。中でもシュメール文明に伝わる“天から授けられた王権”の記録は、単なる神話なのか、それとも歴史的事実なのか――。
古代シュメールと王名表の謎
古代エジプト文明は最も知られた古代文明のひとつであり、紀元前3000年頃に誕生したとされる。メソポタミア文明はさらに古く、紀元前4000年頃に遡る。しかし、これよりさらに時代を遡ると、私たちの常識を覆すような文明の痕跡が見つかっている。
例えば、『オリオン・ミステリー』の著者であるロバート・ボーヴァルとグラハム・ハンコックは、コンピュータプログラムを用いた天文学的シミュレーションにより、ギザの大ピラミッドが紀元前1万500年頃にオリオン座の真上に位置していた可能性があると主張している。
同様に、古代遺跡が太古の天文学と関連しているとする仮説は他にも存在する。例えばイギリスのストーンヘンジが夏至の日の出と整列するよう設計されているという説や、南米のナスカの地上絵が星座の配置と関係しているという考え方もある。
また、古代文献には“大洪水”に関する記述が世界各地で見られる。この伝承は聖書にも記されているが、主流の歴史学や考古学ではこれらを神話として片付け、古代の記録や遺物に記された歴史を慎重に解釈する傾向にある。しかし、メソポタミアでは、こうした主流の歴史観に反する興味深い遺物が発見されている。
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シュメール王名表に記された驚異的な統治期間
メソポタミアは、チグリス川とユーフラテス川に挟まれた地域であり、シュメール、アッカド、アッシリアなどの文明が栄えた。中でも、アッカドの都市は「書物の街」として知られ、膨大な文献が残されている。
特に注目すべきは「シュメール王名表」である。バビロニア、スーサ、アッシリア、ニネヴェの王立図書館などから十数種類のシュメール王名表が発見されており、これらはすべて紀元前2000年代に書かれたと考えられている。その中でも最も保存状態が良いのは「ウェルド=ブランデル・プリズム」と呼ばれる粘土製の四面体であり、紀元前2170年頃にイシン王朝の書記ヌル=ニンスブルによって楔形文字で記されたものである。
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この王名表には、シュメール王たちの系譜が記されており、特に大洪水以前に統治した10人の王は、それぞれ数万年にもわたる驚異的な統治期間を持っていたというのだ。
シュメール王名表の冒頭部分
「王権が天より降りた後、最初の王国はエリドゥにあった。エリドゥのアルリム王は2万8800年間統治し、次のアラルンガル王は3万6000年間統治した。こうして2人の王が計6万4800年間支配した。その後、王国はバド=ティビラへと移された。バド=ティビラでは、エン=メン=ル=アナが4万3200年間統治し、エン=メン=ガル=アナが2万8800年間統治した。さらに、羊飼いのタンムーズが3万6000年間統治した。合計で3人の王が10万8000年間支配した。その後、バド=ティビラは滅び、王権はララクへと移った……」
この記録によると、大洪水前の5つの都市で8人の王が合計24万1200年間統治したとされている。そして、その後、大洪水が地上を襲ったと記されている。
シュメール王たちは本当に人間だったのか?
シュメール王名表の真の目的は、王権が「天から授けられた」ものであり、選ばれた都市が支配権を持つことを示すことだったとも考えられている。しかし、ここで疑問が浮かぶ。なぜ一部の王は数万年もの間統治していたのか。これは単なる神話なのか、それとも何らかの別の解釈が必要なのか。
洪水後の王たちの統治期間は現実的な長さになっているが、大洪水以前の王たちの記録は常識では説明がつかない。これらの王は本当に人間だったのか、それとも「天から降りてきた」存在だったのか――。シュメール王名表は、今なお歴史学者や考古学者を悩ませる謎のひとつである。
このように、古代の記録には現代の歴史観と相容れない部分が多く存在する。天文学的な配置と古代遺跡の関係、大洪水の伝承、王たちの驚異的な統治期間など、多くの仮説が提唱されているが、これらが歴史的事実なのか、それとも神話や誤解によるものなのかは、今後の研究によって解明されていくことだろう。シュメール王名表は歴史の教科書には載っていない古代シュメールの真実を伝えているのかもしれない。たまには未知の歴史ロマンに思いを馳せてみるのもいいだろう。
参考:The Ancient Code、ほか
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2024.10.02 20:00心霊歴史の常識を覆す「シュメール王名表」“天から授けられた王権”と数万年に及ぶ統治の謎のページです。シュメール、シュメール王名表などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで