AIが「最凶の生物兵器」を自作する未来。生物学革命の「光」と「闇」

いまだに“生物兵器説”が完全に拭い去れない新型コロナウイルスだが、AI(人工知能)の進歩が続けば生物兵器になりかねない危険なウイルスが簡単に作れてしまう未来が待っているという――。
■生物兵器開発がAIで実現する戦慄の未来
生物兵器開発のベースとなる病原体工学は高度な専門知識と実験スキルを必要とするが、生物学文献、手法、そしてヒューリスティックスを統合して学習したAIモデルは、有能なアシスタントの役割を担い、悪意を持った意欲的なユーザーによる生物兵器開発を強力にサポートする可能性があるという。
AIが新たな病原体を生み出すわけではないが、新たなウイルスの脅威がこれまで以上に迅速かつ容易に実現してしまうのかもしれない。
「これまでに存在しなかった全く未知の生物兵器が生み出されるような状況にはまだ至っていません」と、米AI企業「OpenAI」の安全システム責任者のヨハネス・ハイデッケ氏は米ニュースメディア「Axios」に語る。
「私たちが懸念しているのは、専門家が既に熟知しているものを再現することなのです」(ハイデッケ氏)
総じてAIはすでに生物学や化学といった分野の発展を加速させており、科学の発展を力強く支えているが、その一方で深刻な結果をもたらす悪意ある利用が検討される段階に入りつつもある。
OpenAIは人間による監視と執行を強化し、AIの乗っ取りを試みるアカウントを停止したり、当局に通報したりすることも検討している。さらにAIや生物学の訓練を受けた専門家からなる「レッドチーム」を投入し、現実的な状況下で安全対策の突破を試みることで、これを阻止する方法を探っている。
AIフィルター、人間による監視、そして敵対的テストの組み合わせは、堅牢に思える措置だが、これらのシステムは、我々が現在直面している規模とリスクにおいて、実世界でテストされたことがないという。
OpenAIでさえ、99%の有効性では不十分であることを認めており「基本的に、ほぼ完璧に近いものが必要です」とハイデッケ氏は説明する。

しかし完璧なシステムは実現不可能であり、悪意のあるAIが完全にコントロール下に置かれる未来を想像するのは難しいようだ。
DNA合成コストは劇的に低下しており、かつては政府系エリートの研究室でしか利用できなかったツールが、今では小規模なスタートアップ企業や大学の研究室でも利用可能になっている。知識のボトルネックが解消されれば、悪意のある行為者はもはや博士号や国家の支援を必要とせず、危険に手を染めることができるようになるかもしれない。
AIが生物学に革命をもたらしていることは疑いようがない。AIは疾患の理解、治療法の設計、そして地球規模の健康課題への対応を、かつてないほど迅速に進めている。しかしこれらのツールが強力になるにつれて、科学の進歩と悪用を分ける境界線は薄れつつある。
はたしてAIが危険な生物兵器の作成を支援する未来が待っているのか。そしてそれを誰が成し遂げてしまうのか。AIをめぐる動向について引き続き注意深くウォッチしていかなければならない。
参考:「ZME Science」ほか
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2024.10.02 20:00心霊AIが「最凶の生物兵器」を自作する未来。生物学革命の「光」と「闇」のページです。ウイルス、人工知能、生物兵器、AIなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで