偽札大国北朝鮮! 世界各国の紙幣が普通に使用されている現実とは?

 私は、ルドルフ・グライナーです。日本と世界を研究するドイツ人です。私は、日本と世界の違いやドイツと日本の違いを研究しています。

 今回は、先日北朝鮮で体験したことをお話しします。

 日本の皆さんは、北朝鮮というとどうしても怖くて謎な国と思い込みがちです。けれども、危険な場所にさえ行かなければ、彼らも人間ですし、安全です。もちろん、何か目的がなければ「拉致」もされないのです。

 私は北京でビザを発給し、そのまま飛行機で平壌に向かいました。

 平壌空港に着くと、まず困ることがあります。空港全体が外国人向けに配慮されていないため、英語を含む外国語の表記がほとんどありません。あるのはハングルと中国語ばかりなので、迷子になります。そして、次に困るのが、町に出るまでの交通機関。どれがタクシーなのか、バスがあるのか…これもまったくわからない。

 やっとのことホテルに着いたのですが、そこで驚きの事件が勃発します。

 実は、北朝鮮ではカードでの決済がほとんどできません。北朝鮮という国家の信用がないのですから、信用取引ができないのです。なので、取引はすべて現金で行われます。…で、ホテルのチェックインを済ませようとしたのですが、出てきたおつりは、なんと「マルク紙幣」だったのです!!

 現在、マルク紙幣は存在しません。特に東ドイツで使っていた紙幣は希少です。しかし、なぜか平壌のホテルのロビーから出てきたのはマルク紙幣のしかも新札(!)だったのです。

私:「これは…?」
ホテルマン:「あなたがドイツ人だったので、マルクにしました」
私:「今はマルクなんか使っていませんよ」
ホテルマン:「そうなのですか? ドイツに行ったことないからわかりません」
私:「ええっ」

 この会話から考えるに、北朝鮮に住む一般人はユーロという通貨があることも知らないということになります。そして、数十年も前になくなったマルクの新札が平壌にあるのです。

 アンビリーバブル!

 仕方がないので、そのマルク紙幣を持って街に出てみました。平壌の街は、少しさびれているものの、基本的には何でもあります。中国の田舎の都市と同じで、大きなショッピングセンターもあれば、中国産ではあるものの、ビールも売っています。電気が少ないのか、冷蔵庫で冷やしたものが少ないだけです。しかし、値段が高い…。基本的に中国の3倍くらい。もちろん、値切ったり交渉したりはできるのですが、言葉が通じないとできません。私は、外で酒を買うよりも、クラブにでも行ってお酒を飲んだ方が得だと考え、クラブに行きました。

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