偽札大国北朝鮮! 世界各国の紙幣が普通に使用されている現実とは?
そこで出会った女の子が英語も話すことができて、サービスもよかったので、チップとしてお金をあげようとしました。ですが、手元にあるのはマルク紙幣…。仕方ないので、恐る恐るそれを出しました。
「こんなにたくさんのお金、いいのですか」
女の子の目の色が変わります。
「このお金でいいの? 朝鮮のお金じゃないよ」
「ドイツのお金ですね。知っています。ウォンに替えたらすごくたくさんになるんですよ」
「そうなの? これ使えるの?」
「もちろんです。ドイツのお札だけではありませんよ。ドルも円も元も、ポンドもフランもルーブルも使えるし、交換できるんですよ。これも将軍様のおかげです」
「……」
そう、北朝鮮では、あらゆる国の紙幣が使われ、流通していたのです。
また、かなり精巧な偽札も多数印刷されており、なかでも「スーパーノート」と呼ばれる偽米ドル札は非常に精巧です。これらは、核開発用の資金として流通しているという噂もあります。ちなみに、その「外貨」が北朝鮮の国内だけで流通しているのであれば問題ないのですが、それがそのまま海外に流出し、ほかの国で流通してしまう危険性もあるのです…。
現代の社会で「マルク紙幣」が出てくれば、さすがに誰でもこの異常な事態に気付くのですが、そうでないとなかなか気づかずに騙されてしまうことも少なくありません。
それにしても…、このマルク紙幣。なんだか見てはいけないものを見てしまった気がします。
(文=ルドルフ・グライナー)
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