>  > コンピュータが示す「もっとも独創的な絵画」とは?

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ムンク『叫び』 - 「Wikipedia」より

 美術館で名画と呼ばれる作品を鑑賞しても、何がスゴいのかさっぱり理解できず落ち込んだ経験はあるだろうか? 素晴らしい絵画とは一体どのような作品か、明確な基準さえあればわかりやすいのに……と思っていた人には朗報(?)だ。名画の“創造性”をコンピュータで数値化し、「もっとも独創的な絵画」を論理的に導き出すという驚きの研究が行われた。

 今月2日、学術論文サイト「arXiv」上に『Quantifying Creativity in Art Networks(芸術の関係性における創造性の定量化)』と題した研究結果を公開したのは、米・ラトガース大学に所属するコンピュータ科学者、バーバク・サレハ氏とアフメド・エルガマール氏だ。

 まず2人は、絵画の創造性を「作品のオリジナリティとその影響力」と定義した。しかし、ある絵画のオリジナリティや影響力の強さは、当然ながら同時代におけるほかの絵画との関係において求められるもの。そこで彼らは、描かれているシーンや形状の複雑性、色彩の鮮やかさ等、絵画が持つさまざまな視覚的要素から数千もの基準をつくり、数値化。実に62,000点の絵画作品に係る2つのデータセットを用意し、独自のアルゴリズムをもとに比較したのだった。

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画像は「arXiv.org」より引用

 そしてコンピュータが導き出したのは、各時代を代表する絵画の“独創性の程度”だ。分かりやすく可視化した表において、横軸は「年代」を、縦軸は「独創性」を示す。また、表の上部に位置する絵画ほど独創性が高く、下の方に位置する絵画ほど独創性が低いことを意味する。例えば、ヨハネス・フェルメール『デルフトの眺望』(1660~1661)、クロード・モネ『シャイイの積み藁、朝日』(1865)、エドヴァルド・ムンク『叫び』(1893)、ロイ・リキテンスタイン『バナナとグレープフルーツ』(1972)、などの作品は、描かれた当時極めて高い独創性を誇っていた。その一方、アルブレヒト・デューラー、ドミニク・アングルといった巨匠たちの作品は、それほど高い評価を得ていないようだ。

 もちろん今回の結果は、あくまでも独創性という観点に基づき、しかもそれらを機械的に比較・処理することによって導き出されたものに過ぎない。研究者たち自身も、結果の真偽を確認することができない等、問題点があることを認めている。しかし一つの見方として、このような絵画作品の分析方法もあるという事実は興味深い。ちなみに、研究者たちは今回の分析手法を文学や音楽にも応用できると主張している。批評家の見解も聞いてみたいところだ。
(編集部)


参考:「arXiv.org」、「POPULAR SCIENCE」、ほか

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